二十九 求めているもの ページ29
「あなたの望みは分かるわ。"かえりたい"のでしょう？いいわ、手伝ってあげる。こっちへお入り。……そこのボーイフレンドもね」
女の人は私とオロチさんの腕を無理矢理掴んでカーテンの中に引き入れた。
中は薄暗く、オレンジ色の照明のみが照らしていた。
正方形のテーブルを挟み、私たちは手前の椅子に座らされた。
「まずは事実確認の為に成り行きを話して貰おうかしら」
「えっと、私は……元は妖魔界に住んでいて……」
何故私がここにいるか語り始めると女の人は私の唇に指先を当てた。
「そうではないわ。私はあなたの全ての成り行きを知りたいの。何故あなたは死んでしまったのか、何故妖魔界と人間界の頂点に君臨する神となったのか。その左肩の傷跡のことも、人を信用できなくなった訳も、今求めているものも全て、ね」
ぞわっと全身に鳥肌がたった。
「わ、私はただ元の世界に戻りたいだけです……‼それとは関係ありません……。だ、だから……」
テーブルの下で爪が食い込む程に手を握った。
「関係ないから、と？……関係なら大いにあるわ。だってあなたは本当に帰りたいと思っていないもの。今は違っていてもこの先は分からないわ」
女の人は余裕のある笑みを浮かべ、心を見透かすように私の頬に触れた。
「あなたは自分を偽るのが上手いのね。今までそうやって逃げてきたの？今求めているものは本当に求めているものなのかしら。それが1番だと、特別なんて言葉で無理矢理定着させているだけよ。ここはあなたの望む世界。いいところだけを摘み取って植えた理想の世界。それでもあなたは──……」
ぱちん、と突然オロチさんは女の人の手を振り払った。
「……あら、どうしたのかしら」
同様することなく女の人はオロチさんに視線を移した。
「……くだらん。貴様のしようとすることは必要のないことだ。信用に欠ける」
オロチさんは私の腕を引っ張ってカーテンを翻した。
ここに長居することはないとオロチさんは扉に手をかけた。
「人を愛するにはその人のことを知ることも必要なのよ」
すると突然暗闇が私たちを覆った。
『A──……』
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剣城京菜(プロフ) - なつさん» あっ、本当ですね…。直しました、教えてくださってありがとうございますっ！ (2019年12月4日 18時) (
レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - 三十三なんですが、（名前）が（あ名前）になってます、、、 (2019年12月4日 16時) (レス) id: ebf4a6617f (このIDを非表示/違反報告)
恋兎姫 - 剣城京菜さん» お返事ありがとうございます…！ 剣城京菜さんの作品妖怪ウォッチのとイナイレの両方好きでした！また新作がでるんですね！楽しみに待ってます！ (2019年11月12日 0時) (レス) id: 2d1633e5ef (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 恋兎姫さん» ありがとうございます！！既に完結までかいて投稿するだけなので、少ししたら平行して新作を出していこうと思っています。良ければそちらも読んでいただけたら嬉しいです！！ (2019年11月10日 17時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
恋兎姫 - この小説のシリーズ大好きです！ もうすぐおわっちゃうんですね…凄く悲しいけど作者様のペースで頑張って完結させて下さい！応援しています！ (2019年11月8日 22時) (レス) id: 2d1633e5ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：剣城京菜 | 作成日時：2019年10月20日 11時
