三 頼れる者 ページ3
『どうしてもね、あの頃に戻りたいなぁって思うことがあるの』
繋いだ手から伝わる優しさはいつだって温かかった。
「──……」
はっと目を開けて少しだけ過去のことを思い出した。
体を起こしてみたが、目覚めることはできていないようだ。
「……夢じゃない」
そんなことは既に分かっていたはずだ。
また私は何か巻き込まれたのだろうか。
確か昨日はオロチさんと夜中に2人で家に帰るところだったはずだ。
とにかく今は現状を理解しないといけない。
窓を開けるとカーテンが翻った。
まだ少し薄暗い。
「──……何かいる」
あちこちに不自然なものが動いている。
目を擦って凝らして見るとそれが"妖怪"であることが分かった。
さくらの力も姿も過去に戻ってはいたが、そうでない事もある様だ。
生前私は妖怪なんて見ることは出来なかった。
だけどこれは私が本来居るべき時へ戻る助けとなる。
オロチさんに会えば絶対どうにかしてくれるはずだ。
となれば早速オロチさんを探すしかない。
もしこれが夢だとしても、何もしないよりはいい。
急いでベッドから出ると1階から母が呼ぶ声がした。
「朝ごはんできたよ。早くしないと学校遅れるわよ」
「ぇっ、あ。分かった……」
今日はまだ平日だったらしい。
スマホの電源を入れると、私が死んだ次の日の日付けが表記されていた。
もし私があの日何も無く家に帰る事ができていたらいつもと変わらない朝を向かえていたんだ。
自分の中でぷつり、と糸が切れる。
「学校行く準備しなきゃ」
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剣城京菜(プロフ) - なつさん» あっ、本当ですね…。直しました、教えてくださってありがとうございますっ! (2019年12月4日 18時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - 三十三なんですが、(名前)が(あ名前)になってます、、、 (2019年12月4日 16時) (レス) id: ebf4a6617f (このIDを非表示/違反報告)
恋兎姫 - 剣城京菜さん» お返事ありがとうございます…! 剣城京菜さんの作品妖怪ウォッチのとイナイレの両方好きでした!また新作がでるんですね!楽しみに待ってます! (2019年11月12日 0時) (レス) id: 2d1633e5ef (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 恋兎姫さん» ありがとうございます!!既に完結までかいて投稿するだけなので、少ししたら平行して新作を出していこうと思っています。良ければそちらも読んでいただけたら嬉しいです!! (2019年11月10日 17時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
恋兎姫 - この小説のシリーズ大好きです! もうすぐおわっちゃうんですね…凄く悲しいけど作者様のペースで頑張って完結させて下さい!応援しています! (2019年11月8日 22時) (レス) id: 2d1633e5ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2019年10月20日 11時