十六 新たなる敵 ページ16
何故そんなことをするのか問うと、うんがい鏡さんは私が悪い者には見えないからと言った。
「鏡を通れば、別の場所にいる私の仲間のところへ出られます」
「……ここを？」
うんがい鏡さんの鏡部分に触れると、指先がその中をすり抜けた。
表の通りはぬらりひょんさんがまだ近くを探っているようだった。
「さぁ、早く使ってください」
「あ、ありがとう……」
急いで四つん這いの状態でうんがい鏡さんの中に入ると、腰が引っかかった。
足を少し伸ばし上半身を引っ張ると見えない足を誰かが強く押した。
「……？いたた……」
すり抜けることができたものの、出てきた先はなんと時計塔の頂上だった。
「ぺろ〜ん。Aさん、ここなら屋敷から遠い上に下からは見えにくいでしょう」
同じ見た目をした妖怪がもっと真ん中へ来るように誘導した。
塔の真ん中に寄って下から見えないように身を隠すと突然光とともに魔法陣が空中に浮かび、うんがい鏡さんを吸い込んでいった。
少し前に私は元の世界のオロチさんから妖怪ウォッチと言うものについて教えてもらっていた。
だから今、目にしたことにも動じなかったが、こんなところに一人とは心細い。
今日はなんだか風が強い。
大きな風でスカートが膨らんだ。
遠目で妖魔界を一周見渡した。
こうやって見ても私の知る妖魔界と然程変わらないようだ。
「──……？」
私が起こした騒ぎとは別の騒ぎが近くで聞こえた。
バタバタと走る音。
建物の隙間から見える黒い影。
その影は妖怪たちを追いかけているように思えた。
「……‼」
屋敷とは真反対の空から黒い雲が覆い始めた。
「雲じゃない──……‼」
近づくにつれそれらが何なのか、はっきりと見えてきた。
赤い目が幾つも光る。
爪を持つものも入れば牙を持つ者もいる。
黒魔と近い姿をしているが、黒魔だとは断定出来ない。
それらはどこに向かっているのか。
気づいた時にはもう遅く、既に目の前に迫っていた。
私は踵を返し、たんたんと地面を蹴った。
そして思い切り時計塔から身を投げた。
「あっ、しまった……っっ‼」
今私が普通の人間であることをすっかり忘れていた。
この高さからの着地は不可能、つまり私は死ぬ。
「──オロチさん……っっ‼」
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剣城京菜(プロフ) - なつさん» あっ、本当ですね…。直しました、教えてくださってありがとうございますっ！ (2019年12月4日 18時) (
レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - 三十三なんですが、（名前）が（あ名前）になってます、、、 (2019年12月4日 16時) (レス) id: ebf4a6617f (このIDを非表示/違反報告)
恋兎姫 - 剣城京菜さん» お返事ありがとうございます…！ 剣城京菜さんの作品妖怪ウォッチのとイナイレの両方好きでした！また新作がでるんですね！楽しみに待ってます！ (2019年11月12日 0時) (レス) id: 2d1633e5ef (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 恋兎姫さん» ありがとうございます！！既に完結までかいて投稿するだけなので、少ししたら平行して新作を出していこうと思っています。良ければそちらも読んでいただけたら嬉しいです！！ (2019年11月10日 17時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
恋兎姫 - この小説のシリーズ大好きです！ もうすぐおわっちゃうんですね…凄く悲しいけど作者様のペースで頑張って完結させて下さい！応援しています！ (2019年11月8日 22時) (レス) id: 2d1633e5ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：剣城京菜 | 作成日時：2019年10月20日 11時
