二十三 幸せの重み ページ23
「う……」
ぱしぱしと瞬きをして、いつの間にか眠ってしまったのだと分かった。
私の胸の中では信がすやすやと眠っている。
妙に体が重い。
小さい手が私の頬をべちんと叩いた。
どうやら私を下敷きに桜が眠っているようだ。
しかもオロチさんは私の足を枕代わりにしてしまっている。
よく眠っているし起こせずにいると、こんこんと誰かが部屋の扉をノックした。
少しして静かに扉が開いた。
「A、起きてる……?」
しゃがんで顔を覗き込んだのは晴愛さんだった。
「昨晩は邪魔しちゃ悪いから言わなかったけど、ここにいることエンマ大王には伝えてあるから……。それと、ごめんなさい……。俺がちゃんとしていれば良かったことなのに……」
「……晴愛さん、よぅちゃん無事だったよ。晴愛さんが居なきゃ私、オロチさんとのことも何も出来なかったから……。晴愛さんが居てくれて本当に良かったってそう思うの。だからね、また2人と遊んでくれる?」
手を伸ばして晴愛さんの頬に触れると晴愛さんは私の手をとり、下唇を噛んだ。
「晴愛さんは私の1番の友だちだもの。離れたくないよ、ほら。笑ってよ」
晴愛さんは手の甲で目元をごしごしと擦るとぎこちない笑顔を見せた。
「──うん。ねぇ、A。重くない?一晩中ずっとそうだから……」
「幸せの重み……」
そう答えると晴愛さんは親ばかだなぁ、とどこか嬉しそうに呟いた。
「じゃあ俺部屋に戻ってるね。オロチも早く退いてあげなきゃ駄目だよ」
晴愛さんは軽い足取りで部屋を出ていった。
足音が遠ざかると私の足を枕にしていたオロチさんがさっと体を起こした。
「……起きてたの」
「今起きたばかりだ」
とは言うものの、私にはそれが嘘だと分かってしまっていた。
オロチさんは私に乗っかった桜をそっと抱き上げる。
ようやく自由になった私は、足のしびれに耐え体を起こした。
するとベッドに残され眠っていた信が起きてしまった。
大きなあくびをして起こしてと言わんばかりに両手を広げた。
「おはよ、まぁくん」
「……おはよう」
信はうとうととしながら私の着物にしがみついた。
程なくして桜が目を覚ました。
仰け反りながら伸びをして、オロチさんから離れるといつものようににこにこと笑った。
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剣城京菜(プロフ) - yukiさん» ありがとうございます!!完結編を投稿したので、よろしくお願いします!! (2019年10月20日 11時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
yuki - 番外編もすごく素敵でした!!続編楽しみにしてます。頑張ってください! (2019年10月14日 23時) (レス) id: f5a4951e98 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - れるれる(現.本垢)さん» 初めまして!!そう言っていただけてとても嬉しいです!!新作も今書いているので、次回作も読んでくださると嬉しいです!! (2019年9月25日 19時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
れるれる(現.本垢)(プロフ) - 初めまして。この作品、すごく好きです。妖ウォを卒業しても剣城さんの作品だけはずっと見てるんです(笑)これからも更新頑張って下さい。 (2019年9月24日 21時) (レス) id: bb493c8f2f (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - なつさん» 期間が空いてしまったので勘違いさせてしまいました……!!ゆっくりでも完結までは投稿するので安心してください!! (2019年9月24日 18時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2019年9月23日 0時