さくらの営み ─誓い─【オロチ】 (ページ10)

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十甘えページ10

花子さんに連れてこられたのは以前出会ったショップではなく、そこより少し離れた場所だった。

「さっ、ここなら何でも揃っているわ。好きに見ていって頂戴」

中に入るとマタニティグッズがずらりと並んでいた。

一つ一つがとてもおしゃれで一式揃えるには相当な額だった。

「何がいるのか全然分からない……」

とりあえずオロチさんと一回り店内を見回ることにした。

「どれも可愛いけど……揃えるには相当なくなる……よ」

「……それは問題ではない。持ち合わせなら十分にある」

オロチさんはあれは必要じゃないかと私の手を引いた。

まだ納得のいかないまま買い物かごに物が増えていく。

30分程して別行動していた晴愛さんがこちらにやってきた。

「こっちこっち」

それだけ言って晴愛さんは来た方へ急いだ。

「……晴愛さんて少し幼い」

「愛情を知れば甘えも出てくる。あいつは愛情を知らなかった分、今甘えが出てきているのだろう」

どこか嬉しそうな表情をするオロチさんの横顔を見て、私は複雑な気持ちになった。

晴愛さんのあとをついていくと、花子さんと2人で妊婦用の服を見ていた。

「A。お腹が大きくなるとさ、着物だと締め付けてきついからこういうゆったりした服がいいと思う」

「私のはそんな凝ったのじゃなくていいよ。いつまでも着るわけじゃないし……」

「あら、別に産んだあとだって着れるわよ。デザインが気に入らないならここで買えばお直しはただにできるし」

花子さんは私の前に鏡を引っ張ってくると服を私の体にあてる。

私の意見そっちのけで2人ははしゃいでいる。

「あなた気が合うじゃない。実は倉庫に店内に出していない特別な商品があるの」

「見させて」

2人は私たちを置いてどこかに行ってしまった。