さくらの営み ─誓い─【オロチ】 (ページ8)

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八絶対、大丈夫ページ8

「俺が人間だった頃にもね、結婚する前に子どもができた男女がいたんだ。愛し合ってはいたんだけど、子育てが大変で仲が悪くなっちゃって最終的には子どもを手放して夫婦にならずに別れたことがあって。多分そのこと言っているんじゃないかな。だけど俺はAなら大丈夫だと思う。だってあんなにも上手に接することできてるし、オロチとだって未だに口喧嘩することあるけど嫌いって訳じゃないし……」

「人の子と自分の子は違うと思う。小さな子の相手は嫌いではないし人より得意かもしれないけど、産まれてくる子はもっと小さいよ。話が通じないの。本を読んでも、絶対その通りにはいかない。子育てがどういうものか聞いても実際やってみなくちゃ分からないんだよ。人にもよるけど私みたいに不安になる。マタニティブルーってやつ。知らない？」

晴愛さんは首を横に振る。

どうしようもないことだから期間が過ぎるまで気を紛らわすしかないと伝えると晴愛さんは突然、空を指差しあの雲は綿飴だと言い出した。

晴愛さんなりに気を使っているのだと思うと私は同じように雲を何かに例えた。

「ねぇ、A。きっと大丈夫だよ。Aにはオロチがいるから絶対、大丈夫」

「──……うん、そうだね」

笑いあっていると襖を開ける音がした。

この足音はきっとオロチさんだ。

来た方向に目をやると予想通りオロチさんが歩いてきた。

「そろそろ帰るぞ」

「話はいいの？」

オロチさんは頷いて私の手を取った。

「ねー、産まれた子のもの揃えなくていいの？もっとお腹大きくなったらAここまで動けないと思うよ」

晴愛さんがそう言うので、寄り道をすることにした。

「と言ってもどこに売っているんだろ。産まれてくる子はどんな姿なのか……。妖怪って人型と言う訳ではないよね」

「Aもオロチも人型だから普通に考えたら人型じゃないの。突然奇形の赤ん坊が生まれてくるとか怖すぎる」

よくよく考えてみればそうだが、妖怪に遺伝などあり得るのか疑問に残る。

「私とAの遺伝を受け継がなかったらそれは問題だが。……Aはそんなことはしないから心配は無用だ」

さて、これからどこへいこうか。

悩んでいると聞き覚えのある声が遠くから聞こえた。