さくらの営み ─誓い─【オロチ】 (ページ5)

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五なだれページ5

玉座の間を出ると晴愛さんとばったり出くわした。

「ここ出ていくの？」

「まだ少し先だと思うけど……」

晴愛さんは少しだけ俯いて

「遊びに行っていい？」

と聞いてきた。

「いつでも遊びに来て欲しいな」

そう言うといつものようににこっと笑う。

「A、土蜘蛛殿の屋敷までは遠い。晴愛とここで待っているか」

「いえ、いきます。晴愛さんはどうする？」

晴愛さんも私のことだからついていかせて欲しいと言った。

私のことだからは余計だと怒ると両側から手を繋がれた。

これなら万が一があっても大丈夫だけど他者から見たら絶対違和感がある。

2人とも離す気はないようで仕方なくそのまま土蜘蛛さんの屋敷に行くことになった。

土蜘蛛さんの屋敷に着くと今日は賑やかで、どうやら元祖軍の皆が居るようだ。

「あら〜。……今日はどうしたの？」

丁度えんらえんらさんが門を出てきたところだった。

やっぱり違和感があるようでえんらえんらさんは私たちを見ると首を傾げた。

「大切な用事だ。土蜘蛛殿はいるか」

「ええ、いるわ」

えんらえんらさんに案内され、中に入ると元祖軍のメンバーがこちらに気づいて手を振ってきた。

「A人気者だね」

晴愛さんは握っていた私の手を振った。

「……ねぇ、Aちゃん何かあったの〜？」

「土蜘蛛殿に話してからだ」

以前オロチさんと土蜘蛛さんが居た部屋の前に着くとえんらえんらさんは襖を少し開け、中にいた土蜘蛛さんと話した。

「入っていいわよ〜」

ようやく手を離され下駄を脱ぎ、オロチさん、私、晴愛さんの順で中に入った。

「どうしたオロチ。3人で来るとは珍しい」

「土蜘蛛殿にどうしても報告しておきたいことがありまして。私とAのことです」

土蜘蛛さんは湯呑を置き、腕を組んだ。

「ようやく籍を入れるのか。待ち侘びていたぞ」

うんうんと頷き、土蜘蛛さんは式はいつ挙げるのだと問う。

「土蜘蛛殿。今日はそのような報告をしに来たのではなく……」

土蜘蛛さんは少しだけ眉を寄せる。

「……今日はAが私との子を身籠ったことを報告しにきました」

すると突然襖が傾き、どさどさとその上に元祖軍の皆がなだれ込んできた。