さくらの営み ─誓い─【オロチ】 (ページ37)

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三十七浮気ページ37

2人を連れて私は土蜘蛛さんの屋敷に向かった。

1ヶ月の間ずっと土蜘蛛さんのところに行っていたから何か分かるかもしれない。

屋敷に到着し、門の外から中を伺う。

何やら騒がしい。

「……‼」

偶然客室から出てきたえんらえんらさんと目が合った。

慌てた様子で私の方へ向かうと屋敷から離れるように私の背中を全力で押した。

「あらあら、こんな遠くまでお散歩かしら〜」

「オロチさんを見に来たのですが。今どこに？」

えんらえんらさんは慌てた様子で今は居ないと答えた。

「オロチさんは1ヶ月程前から土蜘蛛さんのところに来ているようですが、それは本当ですか」

「え、ええ。もちろんよ〜。でもオロチの仕事は執務ではないから屋敷には居ないのよ〜」

妙に嘘っぽい笑いを浮かべられる。

「そう、ですか……分かりました。今日は帰りますが私が来たことは言わないで下さいね」

ぺこりと頭を下げて背を向け歩き出した。

少しして振り返るともうえんらえんらさんの姿はなかった。

「……絶対嘘だ」

だが屋敷に居ないことは確かだ。

となると人間界にいる線が濃い。

昨日の地図のところに居るかもしれない。

そう思い私は人間界へ向かうことにした。

門をあけると金棒が振り上げられた。

咄嗟に指を口元にあて音を立てないように伝えた。

「まぁくんが怖がるのでしばらく向こう見ていて下さい」

強引に黒鬼さんに背を向けさせ、急いで門を通り抜けた。

人間界に着いておおもり山を降りて、地図の目的地に向かった。

歩いていると聞き覚えのある声が聞こえた。

慌てて電柱の影に隠れた。

「あー」

「よぅちゃん、しっ」

桜の口を塞いで声のする方を覗き込んだ。

「……すまないな」

「いいのよ」

オロチさんが見覚えのない女の子妖怪を連れて歩いている。

……本当に仕事だろうか。

2人はさくら中央シティの方へ向かっていった。

私はそのあとを気配を消してついていった。

ふと、ある店の前に花子さんが居るのが見えた。

そこで女の子妖怪と別れ、今度は花子さんと目の前の店に入っていった。

学生には到底入れない有名ジュエリーショップ。

それから1時間以上経っただろうか。

ようやく2人が店から出てきた。

オロチさんの手には小さな白い紙袋。

凄く嬉しそうな顔をしてオロチさんはその紙袋を花子さんに渡した。

花子さんと別れ、オロチさんは再びどこかへ向かいだしたがもう私には追う力なんてなかった。