さくらの営み ─誓い─【オロチ】 (ページ30)

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三十桜信ページ30

悩んで双子の姉弟は姉が桜と書いて"よう"、弟が信と書いて"まこと"と名付けた。

親として何ができるかは分からないけれど、オロチさんとなら何だって出来るような気がした。

「あーっ‼」

桜はオロチさんの腕の中でしとしきりに暴れる。

こんなうるさいのに信は気持ち良さそうに眠っている。

「どうしたら眠ってくれるんだ……」

オロチさんはげっそりとした顔で必死にあやす。

桜は本当に活発的で少し目を離すとすぐにどこか行ってしまう子だった。

だけど決して泣くわけでも無く、遊びたいばかりで買ったおもちゃを嫌というほどに遊び倒した。

対して信は内向的で人見知りも激しく、私とオロチさん以外に触れられるのを極端に嫌がった。

遊ぶことも桜に無理やり付き合わせられるか私たちが促さない限り、ずっと不安そうな顔をしている。

「朝から散々遊んだんだけど……よぅちゃんは誰があやしても絶対寝ないから……」

いつも自分が満足するまで遊んで気が向いたらいつの間にか眠っている。

それは赤ん坊なのだから当たり前。

元気であればそれでいい。

1番の問題は桜ではなく信だった。

桜は既につかまり立ちまですんなり成功したのに信は10ヶ月経った今もつかまり立ちをしようとしなかった。

「双子でも成長に差はある。また明日練習させるべきだろう」

「そうするつもり……。あ、よぅちゃん寝てるよ」

オロチさんは信の眠っている横にそっと桜をおろした。

2人の寝顔を少し眺めてから、隣りの布団にオロチさんと入った。

「……A、すまない。明日早くから土蜘蛛殿に呼ばれている」

「また……？ここ1ヶ月ずっとそう……」

「どうしても外せない用事だ。昼には帰るからそれから信の練習をしよう」

「……絶対だよ」

念を押してもう一度言うとオロチさんは約束だと言って私の手を握りしめ眠った。

つられてまぶたを閉じると気を失うように眠りについた。