さくらの営み ─誓い─【オロチ】 (ページ21)

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二十一約束したふりページ21

次の日私たちはエンマ大王さまの元へ訪れ、別れの挨拶をした。

引き止めることなくあっさりと終わり、荷物を手に外へ出た。

「ごめんね、晴愛さん。もたせちゃって……」

「全然いいよ」

晴愛さんは影の手を使い、昨日買った物を運んでくれた。

古風な建物が建ち並び、その前を歩く私たちを目玉が追った。

目的地にたどり着いて扉を開けると中は以前と変わらないままだった。

「屋敷と思ったより近かったね」

扉を入ってきてすぐ横に荷物をおろすと晴愛さんは大事な用事があるからと屋敷に戻ってしまった。

「……ほら、A。早く入れ」

オロチさんは私の手を優しく引いた。

下駄を脱いであがるとオロチさんは扉の鍵を閉めた。

「……鍵新しくつけたの」

「ああ。特に1人の時は鍵をかけるのを忘れるな」

「分かった」

よくみると窓にも頑丈そうな鍵が取り付けられていた。

昨日帰って来るのが遅かったのはこのせいだったかとオロチさんに視線を向けると、オロチさんは囲炉裏の前に座り込んで深いため息をついた。

無視することはできず、私はオロチさんの隣に座って顔を覗き込んだ。

「……やっぱり嫌だったの」

視線だけこちらが向く。

ずっとそんな目を見ていることは出来なくてすぐにそらした。

するとオロチさんは突然私の腕を引き、潰れてしまいそうな程強く抱きしめる。

何度も何度も私の名前を呟くその声はどう聞いたって私は幸せになってしまう。

私よりも小さな背に手を回し、しっかりと繋ぎ止める。

「……前に約束したこと、覚えてる？晴愛さんが来た日の夜なんだけど」

オロチさんはぴたっと体が止まると私を引き離した。

その顔を見て私が出した答えは覚えていない、だ。