さくらの営み ─誓い─【オロチ】 (ページ12)

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十二 2人だけのページ12

屋敷に着いて晴愛さんと別れ、買ったものはしばらく使うものはないので屋敷の使われていない部屋に置かせてもらうことになった。

オロチさんと一緒に部屋に戻ると私はベッドに横になった。

「今日は疲れてしまったな」

オロチさんは私のお腹を優しく撫でた。

会える日が楽しみだ、元気に産まれて欲しいとぽろぽろと零す。

お腹に耳をあて目を閉じる。

「お腹にいるのわかる……？」

「ああ。きっと元気に育っているはずだ」

ぎゅっと苦しくなって頭に敷いていた枕を抱きしめた。

するとオロチさんはベッドに腰をおろすと優しく私の体を抱きしめた。

「不安か」

枕をそっと退けて私の頬を手の甲で擦った。

「なんか……怖いなって……痛いのとか……」

「出産は母子ともに危険が伴う。恐怖を感じることは当たり前のことだ。それを一人で抱え込んでいては余計辛くなるだけだ。私は父親として母親になるAの不安が少しでも和らげられるように支えになる。……何か欲しいものはあるか」

私は腕をオロチさんの背に回し、強く強く抱きしめた。

「……今日からオロチさんと寝る。子ども産まれてもだからね。ずっと私のこと特別の1番がいい。それと……産まれてくる子どもも特別。あと、それと……男の子と女の子どっちも欲しい……」

オロチさんは嬉しそうに頷いて再び私を抱きしめた。

「それは私も望むことだ。願わずとも私は永遠にAと子を1番特別に愛する。私も子は一人ずつは欲しい」

オロチさんはぱっとベッドから出ると真っ先に扉の鍵を閉めた。

こういう時は大抵、第三者に邪魔されたくない時だ。

部屋の明かりを消してからベッドに戻るとオロチさんは毛布を被って私の体を抱き寄せる。

髪をほどき指を通し髪にキスをすると私のおでこにも唇を落とした。

暗闇の中で唯一見える金色に自分の姿を映して目を伏せた。

唇に微かな温もりを残し、私はオロチさんとともに眠りについた。