さくらの営み ─誓い─【オロチ】 (ページ1)

今日:8 hit、昨日:3 hit、合計:21,510 hit

一悩み事ページ1

黒魔を倒してから約3ヶ月。

平和を取り戻し平和の中でのんびりと生きていた。

「……浮かない顔だな」

一緒に散歩をしていたオロチさんが私の顔を見て不安そうな顔をした。

確かでない事実を隠すべく私は作り笑いをしてみた。

だけど嘘なんてすぐに見破られてしまう。

不機嫌な瞳は私の顔を映す。

「も、もう少し……待ってもらえますか」

「……言う気があるならいいが、あまり1人で考え込むな。それと、そろそろその話し方やめたらどうだ」

首を傾げるとオロチさんは冷たい手で私の頬に触れた。

「……もっと親しい話し方にして欲しい。気を使っているならそんな必要はない。せめて私と晴愛の前では普段の話し方に戻してくれるか」

「気は使ってません。オロチさんたちは一応年上なので使っていただけでして。それと定着してしまったといいますか……。今更戻すのは違和感が……でもオロチさんが言うなら直す……。……よ」

するとオロチさんはおかしそうに笑って私の髪を撫で回した。

「そんな笑わないで……。ところでオロチさん、今日は何か予定が？」

「ああ、このあと土蜘蛛殿に呼ばれている」

そろそろ時間になると言うので、屋敷の近くまで送ってもらって別れた。

去っていくオロチさんの後ろ姿を見えなくなるまでずっと目で追った。

ついに見えなくなってしまうと視線を下げてついでにため息も漏れる。

とぼとぼと屋敷に向かっていると偶然屋敷を出た晴愛さんと鉢合わせした。

「また変な顔。ここ1週間くらい変だけどまた喧嘩？」

「そうじゃない。ただ、いつも来るものが来ないと不安にならない……？」

晴愛さんは難しそうな顔をして首を傾げた。

きっと晴愛さんには直接的な言葉でないと伝わらない。

「……じゃあAの部屋いこ」

晴愛さんは私の手を引っ張って部屋に急いだ。

鍵をしっかり閉めると晴愛さんはここに座ってとベッドをばしばしと叩いた。

そこへ座ると晴愛さんは私の正面に正座をした。

「オロチには言えないの？」

「……そう。もしかしたらオロチにも関係がある」

晴愛さんは話を聞くのが自分でいいのか問う。

同性で最も話せる相手が晴愛さんしかいないというと背筋をぴんと伸ばして聞く姿勢をとった。

「勘違いかもしれないし余計な期待はさせたくないからオロチさんには内緒にして欲しいんだけど……」

万が一を考え私は小声で話した。

「私、赤ちゃんできたかもしれない……」