二百九十八 音のない言葉 ページ48
「オロチさん……。手、握っても良いですか」
差し出された片手ともう片方の手をぎゅっと握って私はオロチさんの髪に唇をおとした。
「……何かあったのか」
オロチさんは不思議そうな顔をしてこちらを見上げた。
「別に……。ただ最も信じて貰えることをしただけです。分かりませんでしたか」
何も答えずオロチさんは目を伏せた。
「……Aから心が離れてしまった訳ではないのだが」
「……そうなの」
そう言うとオロチさんは目を開けてにこっと笑った。
「少し落ち込んでいただけだ。だがもう落ち込むのはやめにしよう。そんな顔をさせては更に私は情けなくなってしまう」
オロチさんは私の頬をぎゅっとつねった。
「情けなくても私はオロチさんが1番です……」
すぐ顔を赤くして顔をそらしてしまうことは私にとって少しだけ優越感があった。
「そういうことは外では言うな……」
逃げるように背を向けて早歩きで去っていってしまう。
その後ろ姿だけを追いかけていく。
溢れてしまいそうな気持ちを飲み込んで隣に立つ。
この先、私の1番の特別がオロチさんで良かったと何度も思うだろう。
いつまでも私はあなたに満たされるのだろう。
そうあって欲しいと願い私はあなたに音のない言葉を送った。
"大好き"
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剣城京菜(プロフ) - くーさん» ありがとうございます！！頑張ります！！ (2019年4月26日 22時) (
レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
くー(プロフ) - 一話から一気に見ました！オロチさんにドキドキしますー！これからも頑張ってください！！ (2019年4月19日 22時) (レス) id: 4b69e817ff (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - あーさん» ありがとうございます！！ (2019年4月7日 16時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
あー - 何これ最高。更新頑張って下さい。 (2019年3月29日 20時) (レス) id: d8fdca1aee (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - yukiさん» ありがとうございます！！ (2019年2月21日 17時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：剣城京菜 | 作成日時：2019年2月12日 18時
