二百九十四 圧迫 ページ44
『来世と言うのが貴様のことだ。娘の言った通り私が授けた力を貴様に受け継いだのだ。つまり貴様が得ている力は偶然と必然であった訳だ。既に私の力を得たからもう必要はないだろう』
「……ではどうすれば」
大きな瞳はゆっくり瞬きをすると
『偶然手に入れた力の限界に惑わされ過ぎだ。簡単にまとめれば貴様には桜の力と無限に妖力を生成する力がある。だから本来困ることなんてないはずだ。しかし何故不調を起こすのか。人は体に、もしくは精神を圧迫をかけられると何をする？圧迫から開放される為に発散するだろう。今の状況に言い換えれば圧迫は力の制限、発散は力の使用。これだけ言ったんだ。あとはもう分かるだろう？』
私のまわりをまとった黒い煙が本の中に吸い込まれていく。
『……貴様、信用しておらんだろう』
「はい」
『可愛げのない奴だ。このまま身を滅ぼすのは貴様なのだが。まぁ、それも見るのもいいだろう。少々お喋りが過ぎた。もう言うことはない。……貴様の連れが今、目を覚ましたようだな』
ひとりでに本が閉じると禁書は話さなくなった。
一旦外に出ようかとまた私は小さな通路に潜った。
扉を開けるとオロチさんと晴愛さんがこちらを覗き込んでいた。
「……何故勝手に行った」
オロチさんは私の腕を掴んで扉から引きずり出した。
「扉を開けた途端晴愛さんとオロチさんは眠ってしまいました。……私は何とも無かったので。エンマ大王さまはしばらく入ることはできていないと言っていました。要は選ばれた者だけ会えるということでしょう」
「……会える？」
私は2人に扉の奥で起こったことを伝えた。
2人とも納得していない様子で腕を組んで首を傾げた。
「信頼性はないが……」
「そいつが言ったことが本当ならしばらくしたらどうなるの？」
あまりに信頼性のない話は困惑するばかりだ。
「……っ」
こうしている間にもどうにかなってしまいそうだった。
内側から圧迫されるような感覚は今にも身を裂いてしまいそうだ。
何かに頼りたかった。
もうどうにでもなれなんて思ってしまって。
「A、どこに行く気だ」
構っている暇はない。
早く、早くどうにかなりたい。
私はふらふらしながら屋敷を飛び出した。
向かったのは人間界に続く場所。
門をくぐって近づくたび、私と似た僅かな妖力が私の妖力と共鳴する。
「──……」
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剣城京菜(プロフ) - くーさん» ありがとうございます！！頑張ります！！ (2019年4月26日 22時) (
レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
くー(プロフ) - 一話から一気に見ました！オロチさんにドキドキしますー！これからも頑張ってください！！ (2019年4月19日 22時) (レス) id: 4b69e817ff (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - あーさん» ありがとうございます！！ (2019年4月7日 16時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
あー - 何これ最高。更新頑張って下さい。 (2019年3月29日 20時) (レス) id: d8fdca1aee (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - yukiさん» ありがとうございます！！ (2019年2月21日 17時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：剣城京菜 | 作成日時：2019年2月12日 18時
