二百五十四 悲しい顔の理由 ページ4
お風呂から上がってオロチさんとともに玉座の間へ向かった。
「失礼します」
中に入るとぬらりひょんさんと晴愛さんも居た。
入ってすぐにぬらりひょんさんに険しい顔でどこに居たのかと問われた。
オロチさんは平然とした様子で土蜘蛛さんの屋敷だと答えた。
それは嘘ではないものの、他人に言えないこともしていたから私は余計なことを言わないように黙っていた。
「ぬらり、外には出ていないようだから大目に見てやっても問題はないだろう。今最も問題にしないといけないのはAの力のことだ。今までその力に頼り過ぎていた。今後はむやみに力は使えない」
「えっ、それってどういうことですか……？」
すると晴愛さんが一歩前に出て、
「このままではAは消える」
そう言った。
「元桜神が消えた理由は自分の意思でもなんでもない。運命だったんだよ。そして力を受け継いだAもその運命に辿り着く。皆を助ける為に自分を捨てなければいけないんだ。……力を使い果たした神は神の座を降りなければならない」
突然のことで思考が追いつかない。
「で、でも……じゃあ、私はどうしたら……っっ守らない選択肢はありません」
「元桜神が昔言っていたことが本当ならまだ力の余裕は十分にあるはずだよ。ただ昔と違って今は黒魔がいるから消費は激しいだろうけど……」
なんの解決にもならない。
誰も解決策がなく黙り込んだ。
「……しばらくAは力を使わないようにしてくれ。オロチはAの見張りを頼む」
エンマ大王さまはそう言い残し出ていってしまった。
ぬらりひょんさんに追い出され私たちは自分たちの部屋に向かった。
「あの、A……ごめん」
晴愛さんは落ち込んだ顔で頭を下げた。
「きっとなんとかなります……」
頭を撫でて開けると晴愛さんは頭を横に激しく振った。
「本当は何とかなる方法があるんだ……それは元桜神が"しなかった"ことだよ」
晴愛さんはそう言ってばたばたと逃げ出してしまった。
どうして逃げ出したのか。
どうしてそんな悲しい顔をするのか私には分からなかった。
追いかけることもできず伸ばした手は空気を掴むだけだった。
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剣城京菜(プロフ) - くーさん» ありがとうございます！！頑張ります！！ (2019年4月26日 22時) (
レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
くー(プロフ) - 一話から一気に見ました！オロチさんにドキドキしますー！これからも頑張ってください！！ (2019年4月19日 22時) (レス) id: 4b69e817ff (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - あーさん» ありがとうございます！！ (2019年4月7日 16時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
あー - 何これ最高。更新頑張って下さい。 (2019年3月29日 20時) (レス) id: d8fdca1aee (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - yukiさん» ありがとうございます！！ (2019年2月21日 17時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：剣城京菜 | 作成日時：2019年2月12日 18時
