二百七十五 無下 ページ25
「何故そう面倒事に巻き込まれる」
「体質……でしょうか」
オロチさんは無事で良かったとふっと笑って私の頬を撫でるとまわりを見渡した。
「受け入れる気がないならこちらも手を打たせてもらう」
盗まれた物の中からオロチさんは縄を引っ張り出した。
月明かりに照らされた部屋は大きな影に遮られる。
「Aは隙きを見て子どもたちを連れて屋敷に戻っていろ。……できるか」
頷くとオロチさんは縄をピンと張り、扉の前に立ちはだかった。
「私からまた大切なものを奪うと言うのか……」
「貴様はその大切なものを無下にしているだけだ。他人から盗んだものなどでは満たされることは一生ない」
オロチさんは扉前に居た婿候補に向かい突きを放った。
衝撃音と砂埃が舞う。
「早くいくの‼」
子どもたちは私の両手を引き、家を飛び出した。
私は子どもたちを抱き上げ、急いで屋敷の方へ走った。
屋敷の前にはエンマ大王さまとぬらりひょんさんが居た。
「ぬらり、玉座の間まで連れて行け」
何があったのか伝わっているらしく、玉座の間まで連れていかれた。
今私にできることはなく、オロチさんが帰ってくるのを祈るばかりだった。
しばらくして外がやけに騒がしくなってきた。
どたどたと壁にぶつかる音、呻く声。
ぬらりひょんさんが玉座の間の扉を開けるとそこから縄で縛られた婿候補が転がり込んできた。
婿候補は暴れまわり、子どもたちを返せと怒鳴る。
これ以上奪うな、と。
子どもたちは怯えきって私の背後に隠れてしまった。
今はここに居させるべきじゃないと一旦退室をして、晴愛さんの部屋に向かった。
「ふわぁ……なに?」
大あくびをして晴愛さんは部屋から顔を出した。
「寝ているところすみません。少しだけこの子たちを見ていてくれませんか」
「……んー、分かった。オロチの子にしては随分と爬虫類っぽいなぁ……」
晴愛さんはそう言って子どもたちを部屋に入れた。
訂正しようかとも思ったがきっと寝ぼけて言っていることなので大目に見ることにした。
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剣城京菜(プロフ) - くーさん» ありがとうございます!!頑張ります!! (2019年4月26日 22時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
くー(プロフ) - 一話から一気に見ました!オロチさんにドキドキしますー!これからも頑張ってください!! (2019年4月19日 22時) (レス) id: 4b69e817ff (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - あーさん» ありがとうございます!! (2019年4月7日 16時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
あー - 何これ最高。更新頑張って下さい。 (2019年3月29日 20時) (レス) id: d8fdca1aee (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - yukiさん» ありがとうございます!! (2019年2月21日 17時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2019年2月12日 18時