検索窓
今日:15 hit、昨日:3 hit、合計:22,139 hit

二百七十三 婿 ページ23

何も考えたく無かった。

この先どうしたらいいのか、きっと考えても思いつきはしない。

何も考えず時折うたた寝をしては時間ばかりが過ぎていった。

時計の針が午後6時を示す。

うだうだしているのもいい加減に私は外の空気を吸ってこようと部屋を出た。


「……はぁ」


外に出るとあたりは薄暗くなっていて大きな太陽が沈みかけていた。

石階段に座ろうと足を出した瞬間、背後から大きなものに抱きつかれたような感触がした。


「だ、誰……⁉」


じたばたしても動きの自由は無かった。

体には何もついていない。


「誰か……っっ‼オロチさん……っっ‼オロチさん‼」


必死になって叫んだがそれと同時に私の体はきつく締め付けられる。

意識は段々と遠ざかり、ぷつりと途切れた。


「……」


然程時間は経って居ないと思った。

目を覚ますと私は真っ暗な場所にいた。

どこかの家の中であることはわかる。

窓から薄っすらと光が漏れていた。


「いたっ‼」


体を起こすと額を思い切りぶつけた。

がらがらがらと物が崩れる音が目の前でした。


「起きたの」


聞き覚えのある声がどこからかする。

すると1つ、ぼんやりとろうそくに火が灯った。


「ぁ……」


そのろうそくを持っていたのは2人の子どもだった。


「どうしてここに……」


あたりを見回してここが2人の子どもの家であることが分かった。

盗まれたであろう物がこの部屋に隙間なく埋もれている。


「あんたが今日からこの子たちの母親だ」


野太い声が頭上から聞こえた。

上を見上げると子どもたちと同じ目を持った者がこちらを見下ろしていた。

その顔に私は見覚えがあった。

晴愛さんが婿候補リストの中から盗んだ1枚に載っていた顔だった。


「子どもたちよ、存分に母に甘えるといい」


「パパ行っちゃ嫌ーっ」


婿候補が家を出ていこうとするのを子どもたちは必死に引き止めていたが聞く耳持たず扉がしまった。


「ごめんなさい……私がママ欲しがったから……」


「直ぐに返しに行こう」


2人は私の腕を引っ張って扉の方へ誘導する。

ガチャン‼

木の扉に鉄のような重い物がぶつかった音がした。


「……南京錠でしょうか」


いくら叩いても扉は開くことはなかった。

二百七十四 犠牲にすること→←二百七十二 嘘つき



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (31 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
32人がお気に入り
設定タグ:妖怪ウォッチ , オロチ , 剣城京菜   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

剣城京菜(プロフ) - くーさん» ありがとうございます!!頑張ります!! (2019年4月26日 22時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
くー(プロフ) - 一話から一気に見ました!オロチさんにドキドキしますー!これからも頑張ってください!! (2019年4月19日 22時) (レス) id: 4b69e817ff (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - あーさん» ありがとうございます!! (2019年4月7日 16時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
あー - 何これ最高。更新頑張って下さい。 (2019年3月29日 20時) (レス) id: d8fdca1aee (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - yukiさん» ありがとうございます!! (2019年2月21日 17時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:剣城京菜 | 作成日時:2019年2月12日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。