二百七十一 欲しいもの ページ21
屋敷に着き、エンマ大王さまに今回の騒動の原因を伝えた。
「お前たちが何をしていたのかはよく分かった。だが、父親の罪を消すことはできない。まずは父親がこれ以上罪を重ねないように止めてくれ」
エンマ大王さまからの言葉はそれだけだった。
「仕方ないよ。悪いことしたのはパパだもん」
玉座の間を出て外に行く途中、1人はそう言った。
慰める言葉もかけないほうがいいだろうと黙っていると腕の中で眠っていた子が起きた。
「父親とは会っていないのだろう。それなのに何故欲しい物がわかる」
後ろを着いてきていたオロチさんが立ち止まった。
「そういえば……そうですね」
「パパ隠れるの上手。欲しいもの盗み聞きしてる」
そう言って2人はローブを外した。
そこでようやく顔をまともに見た。
大きくてぐるぐるの目に長い舌、肌は淡い緑色でざらざらしている。
しっぽは巻いていて、それは知る限りカメレオンのようだ。
気のせいなのかも知れないがどこか婿候補に似ている。
「僕たちまだ隠れるの下手なの。だからパパみたいに上手になりたい」
2人は嬉しそうに笑い合っていた。
「例えば今欲しいものを言ったとすればそれは必ず手元にくる？」
「うん、あるものなら大体……」
とある１つの考えが私にはあった。
それは単純なこと。
「パパが欲しいなんて言ったら帰ってきてくれるかもしれないね」
すると2人は顔を見合わせて大きな声でパパが欲しい、帰ってきてと叫んだ。
届いたかは分からないけれど2人は満足そうにしていた。
今日のところは家に帰ってもらい、後日父親を連れてくることを約束し、私たちは屋敷前で別れた。
2人の姿が見えなくなってから屋敷に入ろうと振り返った瞬間、体が傾く。
隣にいたオロチさんがすかさず支えてくれたものの力が入らず、ずるずると体は落ちていった。
「……力の使いすぎだ」
「そ、そんなことないです……だって……」
オロチさんは首を横に振って私を抱き上げた。
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剣城京菜(プロフ) - くーさん» ありがとうございます！！頑張ります！！ (2019年4月26日 22時) (
レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
くー(プロフ) - 一話から一気に見ました！オロチさんにドキドキしますー！これからも頑張ってください！！ (2019年4月19日 22時) (レス) id: 4b69e817ff (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - あーさん» ありがとうございます！！ (2019年4月7日 16時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
あー - 何これ最高。更新頑張って下さい。 (2019年3月29日 20時) (レス) id: d8fdca1aee (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - yukiさん» ありがとうございます！！ (2019年2月21日 17時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：剣城京菜 | 作成日時：2019年2月12日 18時
