二百七十 ママ ページ20
「むやみに力を使うな」
「むやみではありません。今は使うべき時です」
オロチさんは2人を睨みつけた。
私はオロチさんの手を振りほどき、倒れた妹の方を抱き上げた。
背中を撫でると傷はみるみるうちに消えていく。
「もう大丈夫」
「ありがとう……」
私の腕の中で眠る姿を見てもう1人はにこにこと笑った。
「あなたたちがしていたことを屋敷で話して貰えるかな」
いいよ、と答えるとその子は私の肩に飛び乗った。
「オロチさん、ピアスはこの子たちが返してくれました」
ピアスを返すとオロチさんは一瞬ほっとしたような顔をしたが、直ぐに不貞腐れた顔に戻ってしまった。
話を聞いていなかったようなので歩きながら2人が話したことを全て伝えた。
そのことには納得はしていたようだがまだオロチさんは機嫌は悪いまま。
「ママ……」
腕の中で眠る子は指を吸いながら寝言でママと呟いた。
「こいつまだ生まれたばっかの赤ちゃんなの。ほら、欲しがっちゃまた迷惑になるだろ」
肩に乗った子が眠る子の頭をぺしっと叩いた。
「叩いては駄目だよ。いい子によく眠っているのだから……」
「……死んじゃったママと同じこと言うんだね」
肩に乗った子はぽそりと零した。
聞かせてほしいとは言った訳ではないけれど、子は今日までのことを私たちに話してくれた。
妹を生んでしばらく月日を超すと2人の母親は死んでしまい、取り残された父親は母親の代わりに子どもたちになんでも与えようとしたという。
子どもたちの欲しがりは本当に欲しい訳でなく、わがままを言って気を引かせたかっただけだそうだ。
だけどわがままを素直に受け取ってしまった父親は盗みをすることになり、それを知った子どもたちはそれを返すことを繰り返していた。
「パパずっと帰ってこないの。起きたら物が増えてるの」
「……そっか。じゃあ、まずはパパに会わないといけないね」
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剣城京菜(プロフ) - くーさん» ありがとうございます！！頑張ります！！ (2019年4月26日 22時) (
レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
くー(プロフ) - 一話から一気に見ました！オロチさんにドキドキしますー！これからも頑張ってください！！ (2019年4月19日 22時) (レス) id: 4b69e817ff (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - あーさん» ありがとうございます！！ (2019年4月7日 16時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
あー - 何これ最高。更新頑張って下さい。 (2019年3月29日 20時) (レス) id: d8fdca1aee (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - yukiさん» ありがとうございます！！ (2019年2月21日 17時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：剣城京菜 | 作成日時：2019年2月12日 18時
