二百四十四 繋ぎ止める為に ページ44
オロチさんはあまり機嫌が良くないようだ。
理由は昨晩のことだと推測し、そのことを後悔しているのかなど考えていると、きりがなく不安が降り積もっていく。
もう夜は更けてしまったのに全く眠る気になれない。
一応電気は消して寝ようとはしたけれど気になってそれどころではなかった。
"好き"なんて言葉を呟いては胸が苦しくなっていく。
「……やっぱり謝ろう」
私が拒めば良かった話なんだ。
このまま離れていって欲しくないから終わりにしよう。
朝1番にオロチさんに謝りに行くことを決め、私は一旦眠りについた。
朝早くに起きて身なりを整え部屋を出た。
書斎の扉をノックすると返ってきたのは無音だった。
何度か叩いたけれど返ってくるものは同じ。
我慢できず扉を開けると中には誰も居なかった。
また外に居るのかと廊下を歩いている途中、晴愛さんが眠そうに大あくびしながら歩いてきた。
「……どうしたの?」
「オロチさんをみませんでしたか?」
晴愛さんは目を擦り頷いた。
「さっき俺の部屋まで来て用事があって今日1日居ないってでかけたよ」
「それをわざわざ晴愛さんに?……他に私のことは何も言っていませんでしたか」
何も言っていないと言うと晴愛さんはもう一回寝ると部屋に戻っていった。
「どうしよ、すっごい怒ってる……」
とにかく早く探しに行こうと私は屋敷を出た。
だがオロチさんがどこに行ったかなんて分からない。
どこを探そうか屋敷の前で
うろうろしていると石階段の下から誰かが私に
「何しているんだ?」
と問いかけてきた。
見下ろすとエンマ大王さまが私を不思議そうな顔をしてこちらを見上げていた。
「その、オロチさんを探していまして……」
「ああ、さっき急いだ様子ででかけていったな」
エンマ大王さまが言うには土蜘蛛さんのところに行ったらしい。
「出かけるのは構わないが夜になる前には帰って来いよな」
「──分かりました」
土蜘蛛さんの居場所を聞き、私は急いで階段を駆け下りた。
正確な位置は分からないのでエンマ大王さまが指し示した方向へ向かった。
オロチさんはどうやら土蜘蛛さんの屋敷にいるらしい。
近道をするには森の中を突っ切ると早そうだ。
昨日の感覚をまだ体が覚えている。
力を抜いて木の上に跳び乗り、まだ加減がわからないので慌てずぴょんぴょんと確実に跳び移った。
森を抜け家の屋根に跳び移る。
辺りを見回し土蜘蛛さんの屋敷らしい建物を見つけると私は一度地面に降りた。
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剣城京菜(プロフ) - aruya100さん» ありがとうございます!!頑張ります!! (2019年2月8日 9時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
aruya100(プロフ) - いつも見させていただいてます。更新頑張ってください!期待してます! (2019年2月4日 23時) (レス) id: b60ccdc28b (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - yukiさん» ありがとうございます!!頑張ります!! (2019年1月30日 19時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
yuki - 作品楽しませていただいてます。続き頑張って下さい! (2019年1月30日 8時) (レス) id: 01053ecf80 (このIDを非表示/違反報告)
紅桜(プロフ) - 剣城京菜さん» 頑張ります...! (2019年1月23日 19時) (レス) id: 84fb339dd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2019年1月21日 21時