二百四十三 呆れ ページ43
オロチさんは私の左側に立ち、右手で腰に手を回しもう片方の手で私の左手を握った。
「えっと、私はどうしていれば……」
オロチさんは返事する間もなく木の上に跳び乗った。
ふらふらとしながら木の上で態勢を立て直す。
「私の動きに合わせてみろ」
オロチさんはそのまま隣の木にうつった。
とん、とんとリズミカルに木から木へと跳び移る。
最初は落ちないように必死になったが慣れてくると、オロチさんを真似て自分も足で木を蹴った。
私とオロチさんの足の動きがマッチしてくるとオロチさんは腰に回していた手を離し、その手で私の左手を握り直した。
ブレることなく跳び移る。
「常に次の足の着地点を捉えろ」
言われた通りに私は前を向く。
「風になったみたい──……」
突然腕が下に引っ張られる。
どさどさと音がして私とオロチさんは地面に落っこちてしまった。
「オロチさん、大丈夫ですか……」
倒れてしまったオロチさんの肩を揺さぶった。
「すまない、私が足を踏み外してしまった」
オロチさんは体を起こし私の頭を撫でた。
「感覚は掴めたようだな」
撫でている手にもっとと、無意識に頭を擦り付けてしまう。
オロチさんはさっと手を引っ込め、もう片方の手で撫でていた方の腕を掴んだ。
「……今日はもう終わりだ」
素っ気無く立ち上がり、屋敷の方へ戻っていってしまった。
何か悪いことをしてしまったのかと悩んでいるとあとを追いかけてきた晴愛さんが何かあったのかと尋ねてきた。
首を横に振ると晴愛さんは
「……思春期?」
と答えた。
「……それ前に言ったら呆れられましたよ」
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剣城京菜(プロフ) - aruya100さん» ありがとうございます!!頑張ります!! (2019年2月8日 9時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
aruya100(プロフ) - いつも見させていただいてます。更新頑張ってください!期待してます! (2019年2月4日 23時) (レス) id: b60ccdc28b (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - yukiさん» ありがとうございます!!頑張ります!! (2019年1月30日 19時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
yuki - 作品楽しませていただいてます。続き頑張って下さい! (2019年1月30日 8時) (レス) id: 01053ecf80 (このIDを非表示/違反報告)
紅桜(プロフ) - 剣城京菜さん» 頑張ります...! (2019年1月23日 19時) (レス) id: 84fb339dd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2019年1月21日 21時