二百四十一 稽古 ページ41
朝起きて早々昨晩のことを思い出して唇に触れた。
「特別……」
心臓が握られたようにきゅっと苦しくなる。
苦しいのにどうしてか嬉しいと思ってしまう。
幸せな気持ちになってしまう。
次、どんな顔をして会えばいいのだろう。
そういうことを考えていると、誰かが部屋の扉をノックした。
慌てて飛び起きて鏡の前で髪を整え桜のピアスを忘れずにつけ、平然を装い扉を開けた。
「おはようございます、オロチさん」
「……今日こそは稽古をつける。準備ができたら武道場に来い」
オロチさんは至って普通に、昨日のことはなかったかのように振る舞った。
あれは夢だったのだろうか?
オロチさんはそっけなく立ち去り、その後ろ姿を私は見えなくなるまで追っていた。
まだ残ってる唇の感触は現実だと証明していた。
その場でしゃがみ込んでいると晴愛さんがやってきて
「……何やってんの?」
と、顔を覗き込んだ。
「別に……」
昨日はどうだったかの問いに私は何も答えられなかった。
今から稽古でしょ、と部屋に引きずり込まれた。
着物に着替えると私は晴愛さんを連れ武道場に向かった。
武道場に向かう途中、武道場は以前オロチさんが破壊してしまっていたことを思い出した。
その記憶通り、武道場があった場所は木片が綺麗に片されていて武道場自体はなかった。
「……滝雨もきたのか」
「昨日から晴愛さんです」
オロチさんは特に指摘することなく、晴愛さんは少し離れたところに居るようにと屋敷の方を指さした。
晴愛さんは素直に屋敷の壁を背に腰をおろした。
「……始めよう」
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剣城京菜(プロフ) - aruya100さん» ありがとうございます!!頑張ります!! (2019年2月8日 9時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
aruya100(プロフ) - いつも見させていただいてます。更新頑張ってください!期待してます! (2019年2月4日 23時) (レス) id: b60ccdc28b (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - yukiさん» ありがとうございます!!頑張ります!! (2019年1月30日 19時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
yuki - 作品楽しませていただいてます。続き頑張って下さい! (2019年1月30日 8時) (レス) id: 01053ecf80 (このIDを非表示/違反報告)
紅桜(プロフ) - 剣城京菜さん» 頑張ります...! (2019年1月23日 19時) (レス) id: 84fb339dd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2019年1月21日 21時