二百二十二 悪い癖 ページ22
寝落ちてしまったオロチさんは結局花火大会が終わっても起きてくれなかった。
時計塔の中に続く階段をオロチさんを背負いながら降りて屋敷まで歩いた。
やっとの思いで書斎まで運び、ベッドに寝かせるとドッと疲れが押し寄せその場にへたれこんだ。
オロチさんの寝顔からなかなか目が離せず、無意識にベッドに腕を組んでそこに顔を乗せた。
どうしてこんなにも目が離せないのかわからなかった。
胸がじんわりと温かくなっていく理由もたぶん今私の持っている知識ではわかり得ない。
いつか分かる日が来るのだろうか。
ゆっくりでいいから、少しずつでいいからその日がこればいいなどと願いながら私は静かに目を閉じた。
「──……」
誰かがくすぐるように私の体に触れた。
くすぐったくて目を開けるとオロチさんが私の顔を見下ろしていた。
「……起きてしまったか」
「すみません、おはようございます……」
どうやら私はあのまま寝てしまったようで、今オロチさんのベッドの上に居る限り起きたばかりのオロチさんに寝かせられてしまったようだ。
「いや、それはいい。……私の方こそ昨日は迷惑をかけたようですまない」
「私も大丈夫です……あの、えっと……」
贈り物をするのにどう切り出せばいいのだろう。
1番自然な渡し方とはどういったものなのだろう。
今渡して変だと思われないか?
そもそも受け取って貰えるのか考え始めたらきりがなくなってしまった。
そしたら今じゃなくていいんじゃないか、もう少しあとでもいいんじゃないかとまた悪い癖が出る。
中々話を切り出せない私にオロチさんは首を傾げ、顔を覗き込む。
「す、すみません……」
私は自分の顔を手で覆い隠し部屋を飛び出した。
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剣城京菜(プロフ) - aruya100さん» ありがとうございます!!頑張ります!! (2019年2月8日 9時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
aruya100(プロフ) - いつも見させていただいてます。更新頑張ってください!期待してます! (2019年2月4日 23時) (レス) id: b60ccdc28b (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - yukiさん» ありがとうございます!!頑張ります!! (2019年1月30日 19時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
yuki - 作品楽しませていただいてます。続き頑張って下さい! (2019年1月30日 8時) (レス) id: 01053ecf80 (このIDを非表示/違反報告)
紅桜(プロフ) - 剣城京菜さん» 頑張ります...! (2019年1月23日 19時) (レス) id: 84fb339dd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2019年1月21日 21時