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二百二十八 与えられた自由 ページ28

てっきり死んだのかと思った。

それなのに息はしているし、見えるものはとても綺麗だった。

これは確か桜と言っただろうか。

桜の花びらの毛布から抜けると、目の前にあの女の子がいた。


「……あの、あなたが私……俺を?」


「……違う。あなたはあなたの未練にて生まれただけ」


「生まれた?」


その女の子は色白でとても可愛らしいのに無表情で何を考えているか分からなかった。


「あなたは妖怪になったの。だけどあなたが積み重ねた罪はあまりにも重い。あのままでは自我なんてなかったわ」


最初なんのことだかさっぱり分からなかった。

ただ帰る場所もなくて、なんとなくその女の子にひっついていた。

彼女は自らを桜神と名乗り、俺に関わないでほしいと言った。

だけど影からずっと見ていて彼女はあまりにも内向的な性格だったことが分かった。

桜神の力を目の当たりにしたのは、桜神が人間界に行く為に使った穴に俺がうっかり落ちてしまった時だった。

落ちた先は俺が居た村だった。

そこで俺は同じ様な孤児を見つけた。

そいつには名前があった。

そこには無償の愛があった。

俺より何も頑張っていないのに。

何もしない無能という存在を求められていた。


「……今までやってきたことは何だったんだ」


膝から崩れ落ちるとぽつぽつと雨が降り出した。


「……‼」


自分の体が段々と黒く染まっていく。


「見合うことをすれば求められる、それはあなたの思い込みよ。あなたはただそれに固執している。自由の中であなたは自分自身を縛っている」


桜神は俺の両手を掴んで息を吹きかけた。

すると桜の花びらがそこから俺の腕に螺旋を描きながらまとわりついてきた。


「……あなたは死んで妖怪に生まれ変わって自由を生きていけるはずよ。だから私のところなんて離れて好きなことをすればいいわ。そしたらいつかは見つかるはずだわ」


桜の花びらが皮膚に浸透し、黒くなっていた部分が薄まっていった。

俺は桜神に救われた。

俺は単純だった。

自由と分かっても離れがたがった。



「……いつまで着いてくるの」


「俺、決めました。姫さまの側近として生きていきたいです」

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設定タグ:妖怪ウォッチ , オロチ , 剣城京菜   
作品ジャンル:アニメ
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剣城京菜(プロフ) - aruya100さん» ありがとうございます!!頑張ります!! (2019年2月8日 9時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
aruya100(プロフ) - いつも見させていただいてます。更新頑張ってください!期待してます! (2019年2月4日 23時) (レス) id: b60ccdc28b (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - yukiさん» ありがとうございます!!頑張ります!! (2019年1月30日 19時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
yuki - 作品楽しませていただいてます。続き頑張って下さい! (2019年1月30日 8時) (レス) id: 01053ecf80 (このIDを非表示/違反報告)
紅桜(プロフ) - 剣城京菜さん» 頑張ります...! (2019年1月23日 19時) (レス) id: 84fb339dd8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2019年1月21日 21時

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