二百二十 寝ぼけ ページ20
「オロチさんどのくらい飲まれたんですか」
えんらえんらさんと土蜘蛛さんは同時に人差し指だけ出した。
1杯でこの有様らしい。
本当に弱いんだと髪の隙間から覗く長いまつ毛を見つめた。
「おやかたさま、そろそろ時間ですわ〜」
「む、もうそんな時間か。A、吾輩らはこれで失礼する。オロチを頼むぞ」
2人はそう言って去ってしまった。
取り残された私はオロチさんをどうしようかと悩んだ末、起こして屋敷に戻ることにした。
肩に触れるとオロチさんの体がぴくりと動いた。
あまりにも気持ち良く眠っているので、もう少しこのままにしておくことにした。
眠っているオロチさんを見ているとこちらまでうつらうつらとしてくる。
「──……」
甘い香りに目を覚まし顔をあげると私は
いつの間にかあの桜の木がたくさん生えた場所に立っていた。
どの木より大きい1本の桜の木はぼんやりと光っているように見えた。
「……‼」
脳裏に横切った瞳はまるで宝石のように美しく輝いていた。
「エメラルドグリーン……緑色」
そう呟くと私を中心に桜の花びらが風にのせられ、覆い隠していく。
「A……」
聞き覚えのある声が私の名前を呼ぶ。
「A……」
「……?」
不意に目を開けると金色の瞳がこちらを覗き込んでいた。
「あれ……オロチさんどうしてここにいるんですか……」
顔をあげて周りを見回すと桜の木はなくなっていた。
「寝ぼけているのか……」
「少し……オロチさんはもう大丈夫なんですか」
頷くとオロチさんは場所をかえようと私の腕を軽く引っ張った。
どこに行くのか尋ねると空に近いところだと言った。
辿り着いたのは時計塔だった。
時計塔の針はもうすぐ10時を迎える。
「この上だ」
オロチさんは掴んでいた腕を強く引きつけ、私を抱き上げて飛んだ。
時計塔の屋根の上におろされ私はオロチさんの腕を思い切り握った。
「……爪をたてるな」
オロチさんは私の隣に座ると遠くの空を見つめた。
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剣城京菜(プロフ) - aruya100さん» ありがとうございます!!頑張ります!! (2019年2月8日 9時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
aruya100(プロフ) - いつも見させていただいてます。更新頑張ってください!期待してます! (2019年2月4日 23時) (レス) id: b60ccdc28b (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - yukiさん» ありがとうございます!!頑張ります!! (2019年1月30日 19時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
yuki - 作品楽しませていただいてます。続き頑張って下さい! (2019年1月30日 8時) (レス) id: 01053ecf80 (このIDを非表示/違反報告)
紅桜(プロフ) - 剣城京菜さん» 頑張ります...! (2019年1月23日 19時) (レス) id: 84fb339dd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2019年1月21日 21時