さくらの営み 4【オロチ】 (ページ10)

今日:4 hit、昨日:7 hit、合計:31,207 hit

百六十子のできかたページ10

その晩、私はお手洗いの為に部屋を抜け出した。

ため息を漏らしながらお手洗いから出ると部屋の前にオロチさんがいるのが見えた。

「まだ起きていたのか」

「お手洗いに起きただけです。オロチさんこそ何か用ですか？」

するとオロチさんは私を不審な目でみて、どこか痛いのかと尋ねた。

「少しお腹と頭が痛くて……。大したことじゃないですよ、毎月のことですから……」

オロチさんは私の不調の原因を察したのか、とりわけ特別な反応をするわけでもなく部屋で休んでいろと早足でこの場を去った。

部屋に入りベッドにダイブする。

うつらうつらとしていると部屋の扉が開いた音で目が覚めた。

「……寝てしまったのか」

「起きてます」

体を起こしベッドに腰をかけると、オロチさんはさり気なく持ってきた毛布を私のお腹にかけた。

「この薬で多少は良くなるそうだ」

2錠の薬と水の入ったコップを受け取り、一気に飲み込んだ。

「……元から妖怪として産まれた妖怪は具体的にどう産まれるんですか？人のように母体から産まれ新生児、乳幼児……など過程を踏んでいくのでしょうか」

「一概には言えんが人型の妖怪であれば、人に近い産み方をするかも知れないな。……私にも良く分からん」

オロチさんは顔を背けると気まずそうに咳払いをした。

「とにかく今は休め」

オロチさんはそう言って逃げていくように部屋を出ていった。