百七十八 敵対 ページ28
オロチさんに突き飛ばされ私は電柱に背中からぶつかった。
オロチさんと狼の黒魔は目にも止まらぬスピードで戦っている。
「Aっよく聞け‼今からおおもり山のご神木へ向かって妖魔界からの部隊を連れてこい‼」
「でもオロチさんは⁉」
「私のことは後でいい……‼Aが怪我をしては守れるものも守れないだろう‼自分の力をよく考えろ‼」
乾いた唇を噛んだ。
震える手を力いっぱい握って私は顔をあげた。
「絶対……っ絶対生きていて……‼」
私はオロチさんを背に全速力で走った。
「我から逃げられると思うな……っっ‼」
狼の黒魔がオロチさんそっちのけで私のあとを追いかけてきた。
絶対捕まるもんかと必死に足を動かす。
「……‼」
真っ青だった空に突然灰色の雲が覆い、大粒の雨が降り注ぎ始めた。
「黒狼、俺の獲物に手を出さないでくれるかな」
「ふん、ヘマした奴が何を言うか」
地面から大きな影の手が這い出て走っていた私の足を掴んだ。
派手に転ぶと影の手は私の体を乱暴に掴んだ。
「そもそも俺は先に厄介者から排除しようと提案したじゃないか。それなのに標的だけやればいいと言ったのは誰?脳筋が指図しないでよ」
「貴様我を侮辱するのか‼」
狼の影が私を掴んだ手に噛み付いた。
宙に浮いていた私の体は影の手ごと落っこちた。
そしてあとから追いかけていたオロチさんが私を抱き上げ、近くの家のブロック塀の裏へ身を隠した。
「ばっかじゃないの?獲物を逃してどうするんだよ」
「あんな奴らなどすぐに始末できる。我の侮辱を晴らしたあとでも問題ないだろう」
大きな手の正体は黒雨だろう。
更に厄介なことになったのには違いない。
ただ、一人と1匹は仲が悪いようだ。
幸い雨のおかげで多少の音を出しても気づかれなかった。
オロチさんに連れられ少しずつ敵と距離をとる。
「これからどうするんですか……?」
「できる限り距離をとる。2体同時では流石に相手にできない。Aは絶対怪我を負うな。それが皆を助けることに繋がることは分かるな」
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2018年12月10日 18時