百六十九 義務 ページ19
目を覚ましたのは部屋の外が騒がしかったからだった。
ぼんやりとした頭でベッドから出る。
目を擦りながら部屋の扉を開けると猫きよさんと犬まろさんが慌てた様子で去っていくのが見えた。
不審に思い、あとを気づかれないように追いかけた。
玉座の間に入っていったのが見え、私はその扉に耳を近づけた。
声から察するに、中にはエンマ大王さま、ぬらりひょんさんに猫きよさんと犬まろさんが居るようだ。
「人間界に黒魔が現れたとは本当ですか」
「ああ。黒魔は元々人間界から来たんだから居ても不思議ではないんだけどな……。小型の黒魔なら人間界にいる妖怪たちで事足りていたんだが、今回大型が突如として現れたらしい。今人間界にはオロチがいるから特に心配はしていないんだが、間違っても黒魔に人を襲わせてはいけない」
「それなら今すぐ部隊を結成するニャ‼」
「ああ、頼んだ」
足音がこちらへ近づいてくる。
私は迷わず外へ続く方の廊下へ向かった。
屋敷を飛び出し鬼の門へ走った。
門へ辿り着き力いっぱい門を押した。
半身ほど開いたところに体を滑り込ませた。
すると目の前に金棒が振り下ろされた。
「悪いがここを通す訳にはいかん‼」
「通してください……っっ」
黒鬼さんはぐいっと顔を近づけ私を睨んだ。
「オロチから何が起こってもここを通すなと言われておる。例え人間界が滅んでもワシはここを守る義務がある‼」
「滅んじゃ駄目なんです‼人間界も妖魔界も滅んじゃ駄目です‼人間界が滅べばここの門番をする意味もありません……‼そんなに義務が大切なら私だって……っっ私は……‼」
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作者名：剣城京菜 | 作成日時：2018年12月10日 18時
