さくらの営み 4【オロチ】 (ページ16)

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百六十六偉大ページ16

屋敷内に入るとぬらりひょんさんがいた。

何か言うこともなく長い髪を翻し、こつこつと靴を鳴らし歩いていく。

追いかけることなく、自分のペースでついていくと部屋の前に猫と犬の妖怪がいた。

「くれぐれも目を離すな」

「了解ニャ‼」

ぬらりひょんさんはそれだけ言ってまた、靴を鳴らし去っていった。

「桜神さまは部屋の中でゆっくりするといいニャ」

「御用がありましたら我らに申し付け下さい」

前より態度が違うのは気のせいだろうか？

いや、もう少し上からな感じだったはずだ。

「あの、そう呼ぶのはやめて下さい。できればAと、元の名前がいいです」

「……それはできないニャ。桜神さまは偉大なお方ニャ」

「表に出ないとはいえ２つの世界の頂点に立つ方として無礼な態度は許されません」

2人の主張はこんなものだ。

私には煩わしい。

「それは元桜神のですよね、私は違います。私は元は平凡な家庭に産まれた普通の人間です。偉大ではありませんし、まだ力も制御できていません。なので今までのようにして貰いたいです。……駄目？」

2人は顔を見合わせると私に背を向けこそこそと話し始めた。

「分かったニャ。Aの言う通りにするニャ」

「不本意ではありますが、願われれば仕方ありません」

そして私は2人の名前を尋ねた。

世間話はすることなく、部屋に入ることを急かされた。

まだ感触が残っている肩を抱き、疼いている感情をどうにか落ち着かせようと深呼吸を繰り返した。