百五十 もう一度 ページ50
目の前で地面に倒れ込み、動かなくなったオロチさんを私は呆然と見つめていた。
「くそ……っ」
こんなこと望んでいなかった。
ただ、私は誰かを傷つけたくなかった。
消えてしまいたかった。
たったそれだけのことなのに。
「ねぇ……どうして?これはふりじゃないの?」
髪を耳にかけ、その白い顔を覗き込む。
もう、動かない。
口も聞いてくれない。
「私さえいなければ……」
「A‼そんなことはオロチは一切望んでなんか居ないっ‼オロチはAに嘘をついてきたことを悔やんでいた‼そしてAが自分の正体に気づいたとき、Aを守れなかったと‼Aを守るのは自分では無かったのだとオロチは自身の気持ちを抑えAから離れたんだ‼Aを想う気持ちに偽りは一切ない‼今もその意志があったことを目にしただろっ⁉」
ヒカリオロチさんは耳が避けてしまいそうな程の大声を出した。
「オロチさん……」
震える指先で頬をなぞる。
ひんやりして、柔らかい。
「オロチさん……オロチさん……っっ」
もし、私に信じる勇気があったのなら。
もし、素直に認められていたのなら。
もし、私に乗り越える力があったのなら。
もし、私に力があったのなら。
「こんなことにはならなかったのに……っっ‼」
欲しい。
認める勇気を。
自分を、気持ちを受け止める素直さを。
乗り越える力を。
そしてもう一度──……っっ‼
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紅桜(プロフ) - 楽しみにしてます♪頑張ってください! (2018年12月11日 20時) (レス) id: 84fb339dd8 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 紅桜さん» ありがとうございます!今作は大変長編となっていますので、今後も楽しんでくれると嬉しいです(^^♪ (2018年12月11日 18時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
紅桜(プロフ) - まさかの展開で驚きました...!とてもおもしろかったです!続きがきになります(≧∇≦) (2018年12月10日 21時) (レス) id: 84fb339dd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2018年10月14日 12時