百四 昔事 ページ4
「私の故郷はある者によって滅ぼされた。……家族もだ。私が死ぬ間際、憎しみと復讐心を抱き気づいた時には私は"オロチ"となっていた」
恨めしくオロチさんは空を睨みつける。
「……すみません、聞いてはいけないことでした」
「昔の話だ。オロチとなった私は"あばれ大蛇"という異名で知られ、手に入れた力で他の妖怪を傷つけてきた。だが、先代エンマ大王との戦いで私は完敗した。……初めての敗北だった。散々傷つけてきた私を先代はこの力を人と妖怪の未来の為に使って欲しいと私に願った。私は心改めて今日まで尽くしてきた訳だ」
「……昔は不良だったのですね」
また怒ってしまうかと思ったけど、オロチさんは微かに笑っていた。
「……どうして私に?オロチさん自分のことあまり話さないと思っていたので……」
「Aには知っていて欲しかった」
オロチさんは私の顔をじっと見つめた。
「……決めつけ、でした。誰だって誰かに何か聞いて欲しい時はありますよね」
そう返すとオロチさんはまた不機嫌な顔になり、溜め息をつかれてしまった。
「鈍感な奴だ。これ以上風に当たると風邪を引くぞ」
オロチさんは立ち上がると私の腕を引っ張った。
今の今まで寒かったのに触れられた瞬間体に熱がこもった。
「今日は温かくしていろ。あとで温かいお茶でも持っていこう」
「は、い……」
下手くそな返事を返し、オロチさんのあとに着いていく。
屋敷の扉を開けた時、背後に気配を感じた。
「やっと見つけた……」
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紅桜(プロフ) - 楽しみにしてます♪頑張ってください! (2018年12月11日 20時) (レス) id: 84fb339dd8 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 紅桜さん» ありがとうございます!今作は大変長編となっていますので、今後も楽しんでくれると嬉しいです(^^♪ (2018年12月11日 18時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
紅桜(プロフ) - まさかの展開で驚きました...!とてもおもしろかったです!続きがきになります(≧∇≦) (2018年12月10日 21時) (レス) id: 84fb339dd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2018年10月14日 12時