四十一 取り引き ページ41
……どうしてこうなったのだろう。
抵抗するのも虚しく、私は無理矢理そこを連れ出された。
連れ出されている最中のことは分からない。
思い出したくないことだ。
たどり着いたのは黒い世界。
大きな城があり、私はその門の前におろされた。
「ささ、こちらに」
今度は牢獄に入れる気はないようだ。
彼女が何を考えているのか分からないけれど、早く戻らないと多分オロチさんが怒る。
とはいえ、帰り方を知らないのでどうしようもない。
ここには地上もなく、城が立つだけの崖があるだけ。
「ひめ様がお待ちです」
「……私をどうするつもりなのでしょう」
小さな妖怪は眉をハの字にした。
「私にも理解しかねます。あの方は他の誰かに心の内を見せたりしませんので……。ですがむやみに手を出したりはしないでしょう。であれば既にあなたはここにはいないでしょうから」
さらりと最後にとんでもないことを言った気がするが……。
「おい、いつまで待たせる気だ」
襖の奥からドスの効いた声が聞こえた。
小さな妖怪は慌てて襖を開けると私を無理矢理押し込んだ。
「ここに座れ」
と、目の前の座布団を指さされる。
言われるまま向き合うように座ると彼女はじっと私の顔を睨みつけた。
目を反らせば負ける。
私は負けじと睨み返した。
「……百鬼姫さま。一体私に何の用でしょう」
「これは取り引きじゃ」
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剣城京菜(プロフ) - あやべえさん» ありがとうございます!頑張ります!! (2018年8月25日 20時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
あやべえ(プロフ) - オロチかっこいいですぅ……これからも頑張ってください!応援しています! (2018年8月25日 9時) (レス) id: af2133f4e4 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - kkkkkkkkkさん» ありがとうございます!頑張ります!! (2018年8月7日 20時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
kkkkkkkkk - 頑張ってください!!応援しています!! (2018年8月7日 6時) (レス) id: c230d910a2 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 奈乃さん» 頑張ります!!アドバイスもありがとうございます!! (2018年7月25日 11時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2018年7月20日 19時