十七 名前 ページ17
寝ようとしても布団がなく、座布団を枕にして横になった。
こんな状況で寝られるわけがないのだが。
「髪戻るといいけど……」
ぼんやりとした光に透かすと、白くきらきらと光る。
帰ったらきっと怒られるのだろう。
学校はどうだろう?
心配してくれるのだろうか。
あぁ、お腹空いた。
早く帰りたいな。
窓から漏れる夜の光は段々と朝の光へ変わっていく。
こんな奇妙な世界でも朝と夜はきちんと来るんだ。
結局一睡もできずに朝を迎えた。
体を起こし、ため息をつくと玄関の扉を誰かが強く叩いた。
「誰……?」
昨日のような気持ち悪い犬だったら嫌だと居留守を使おうと思ったが、あまりにもしつこく叩くので仕方なく扉を開けることにした。
そこには見たことのある白髪長身の男がいた。
いや、妖怪だ。
「オロチは居るか」
「……オロチ?」
聞き返すと白髪長身の妖怪は愛想のない顔で
「貴様の世話役だ。……名前を聞いていないのか」
と言った。
「だってすぐ帰りますし……」
白髪長身の妖怪は頭を抱え深くため息をついた。
「……なにか不都合がある訳ではあるまい。名前くらい聞いておけ」
「……そうですね。ところで、人間界の話はいつすれば良いのですか」
白髪長身の妖怪は持っていた杖を私に突きつけた。
「……こちらにも都合というものがある。しばらくはエンマ大王は忙しく貴様のような子どもにかまう暇はない。こちら側から呼び出すまでは大人しくしていろ」
白髪長身の妖怪は髪を翻し、せかせかと歩いていく。
なんの用事だったのだろうと思いつつ家の中に入ろうとすると、白髪長身の妖怪は思い出したかのようにこちらを振り返った。
「我が名はぬらりひょん。エンマ大王の側近兼妖怪評議会議長を務めている。エンマ大王に用があれば必ず私を通すように。屋敷には近づかぬよう、くれぐれも面倒ごとは起こしてくれるな」
ぬらりひょんさんは杖で私を指すと怒ったように去っていった。
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剣城京菜(プロフ) - あやべえさん» ありがとうございます!頑張ります!! (2018年8月25日 20時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
あやべえ(プロフ) - オロチかっこいいですぅ……これからも頑張ってください!応援しています! (2018年8月25日 9時) (レス) id: af2133f4e4 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - kkkkkkkkkさん» ありがとうございます!頑張ります!! (2018年8月7日 20時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
kkkkkkkkk - 頑張ってください!!応援しています!! (2018年8月7日 6時) (レス) id: c230d910a2 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 奈乃さん» 頑張ります!!アドバイスもありがとうございます!! (2018年7月25日 11時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2018年7月20日 19時