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三十六 猫と犬 ページ36

結局、朝になっていくのを待っているだけだった。

体を起こして、足にかけられた黒の布を畳んで抱き、時計に目をやった。

もうすぐ7時になる。

何時に起きるつもりなのか分からないが、それまで待っていたほうがいいのだろうか。

それとも起こしたほうがいいのだろうか。

悩んでいると、突然肩を軽く叩かれた。

振り返ると顔を強張らせたオロチさんが居た。

やはり昨日のことを怒っているのだろうか。

オロチさんは私の持っていた布を掴むとそれを腰に巻いた。


「……そろそろいくぞ」


すたすたと扉の前に行き、がちゃりと鍵を開ける。


「……どうした」


振り返ったオロチさんの顔はまだ強張っている。


「……朝苦手みたいですね」


そう言ってみるとオロチさんは眉間を擦った。

予想通り朝が苦手なようだ。

私は安心してオロチさんのあとについていく。

玉座の間に辿り着いたはいいが、誰もいない。


「ああ、悪いな」


丁度、エンマ大王さまが違う扉から入ってきた。

玉座に座るとどこからか猫と犬の姿をした妖怪が、赤色の円柱形の丸椅子を私の後ろに置いた。


「ペロ〜ン!ここに座れニャ‼」


「ど、どうもありがとうございます……」


声が出そうになるのをぐっと堪え、そろそろと腰をかけると、ふわふわで気持ちが良かった。


「本当は謁見の間を使えば良かったんだが、今諸事情で使えなくてな。オロチも遠慮しないで腰をかけてくれ」


「……そうさせていただきます」


オロチさんはそう言うと正座をして座った。


「椅子、持ってきてやったニャ」


さっき椅子を持ってきてくれた妖怪がもう一つ、椅子を抱えてオロチさんの後ろでもたもたしている。

猫の妖怪は犬の妖怪に視線を送る。

犬の妖怪はただ首を横にふるだけ。


「せいぜい足しびれて間抜けに転ければいいニャ‼」


猫の妖怪はぷんすか怒って一人で椅子を持ち上げ出ていってしまった。

犬の妖怪は猫の妖怪の姿を見て呆れたため息を付き、追いかけていった。

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設定タグ:妖怪ウォッチ , オロチ , 剣城京菜   
作品ジャンル:アニメ
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剣城京菜(プロフ) - あやべえさん» ありがとうございます!頑張ります!! (2018年8月25日 20時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
あやべえ(プロフ) - オロチかっこいいですぅ……これからも頑張ってください!応援しています! (2018年8月25日 9時) (レス) id: af2133f4e4 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - kkkkkkkkkさん» ありがとうございます!頑張ります!! (2018年8月7日 20時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
kkkkkkkkk - 頑張ってください!!応援しています!! (2018年8月7日 6時) (レス) id: c230d910a2 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 奈乃さん» 頑張ります!!アドバイスもありがとうございます!! (2018年7月25日 11時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2018年7月20日 19時

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