九十一輪 ページ41
「オロチ……っここだよ……っっ‼助けて……っっ‼」
声の出る限り叫んだ。
どうか、どうか届いて欲しい……。
私はここにいるから……っ‼
「……っっ⁉」
肩を足で強く蹴られ、私は後ろへ倒れてしまった。
起き上がろうとすると肩のあたりを足で押さえつけられた。
「……馬鹿だなぁ。なんでわかんないのかな?君はあいつに甘え過ぎなんだよ。あいつは君を守れても君はあいつを守れない。君はあいつをいいように使ってるだけなんだよ。もっと絶望してくんなきゃつまんないよ」
影は抵抗する私の片足を掴むと、靴下を引きずり下ろした。
「あーあ、傷だらけ。本当はもっとぐちゃぐちゃになるはずなんだけど何が邪魔してるんだろうね。君の家、特別な血とか、術者と繋がりでもあるの?……ねぇ、僕がどうして君に固執するか分かる?」
「離してっっ‼」
じたばたと抵抗するも押さえつけられたところはびくとも動かない。
次第に疲れ、動けなくなる。
「僕は人の影を糧とし生きるんだ。幸せからどん底まで落として作られた人の影はすっごく魅力的で最後にゆっくりと味わうんだ……」
影は歪んだ笑みを見せ、左太もも裏の傷跡を舌先でなぞった。
「……っっ‼」
その行為に私は全身に鳥肌をたたせた。
「やめてってば……っっ‼」
片足を掴んだ手が一瞬緩んだところにすかさず私はその足を振り上げた。
それを避けるため、もう片方の手の力も緩む。
私は不格好に立ち上がると全速力で走り出した。
「……あーあ」
右も左も分からずずっと走っていく。
出口は、あるのだろうか……?
でも立ち止まるわけにもいかない。
何度も何度もオロチの名を呼んでは涙が溢れた。
どうして泣いているのだろう。
……怖いから?
「……‼」
何かにぶつかったような感じはしなかったが、これ以上先に進めない。
「無駄だよ。ここに出口はないんだから」
目には見えず、声だけがこの空間に響く。
薄暗くかろうじて数メートルは見えていたのに、ゆっくりと真っ暗闇へ移り変わっていってしまった。
ひやりと通り抜ける空気に恐怖心を抱きながら、私は手探りで道を探した。
「……っっ」
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剣城京菜(プロフ) - まぃさん» ありがとうございます頑張りますっっ!! (2018年2月26日 18時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
まぃ(プロフ) - かっこいいですオロチ!! 夢主さんも可愛いし これからも頑張ってください! (2018年2月25日 21時) (レス) id: fa92bd9a65 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 奈乃さん» ありがとうございます,頑張ります!! (2018年2月12日 11時) (レス) id: 8e91a3c5b3 (このIDを非表示/違反報告)
奈乃 - おもしろいです! 更新頑張ってください! (2018年2月11日 17時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2018年2月11日 0時