六十八輪 ページ18
ぼけっと立っているとえんらえんらに背中を軽く叩かれてしまった。
「すぐに私も行くから部屋で待ってて」
「......うん」
オロチの後から部屋に入るとそこは客間だった。
ここに座るようにと隣の座布団を叩いた。
数分してえんらえんらがお茶とお茶菓子を出してくれた。
「......ところで今日はなんの用かしら」
えんらえんらが尋ねるも,オロチは言うことを渋っていた。
えんらえんらは私とオロチの顔を交互に見る。
「あ,その,赤い糸って分かる......?」
「赤い糸......?思いつくのは運命の相手と繋がる赤い糸よねぇ〜」
頷くとえんらえんらは首を傾げた。
「もし,それが目で見えるようになったとしたら原因ってなに?」
「え?そうねぇ......普段見えないものが見えるようになるのはその人の死期が近いとかだと思うのだけれど......。それ以外となると妖怪の類の仕業とか,まじないかしら〜」
はっきりとしたことは分からないと,そう聞くと沈黙が続いた。
その沈黙の空気の中,オロチはふっと部屋を出て行ってしまった。
オロチが離れたのを見計らってからえんらえんらは私に
「でも赤い糸がどうしたの〜?」
「えっと,昨日の夜にね,赤い目をしてマントを被った女の人?が私たちに 自身で見つけることは意味を成す だとか......言ってそれで,今日の朝,赤い糸が見えるようになちゃってって......」
言うことがまとまっていなさすぎたが,えんらえんらはきちんと理解してくれたようだ。
「そう,それで親方様を尋ねに来たのね〜。......それでAちゃんは誰と繋がっているの?」
「......分かんない。私もオロチも絡まりすぎてて,今もそこに......」
部屋の入口を指さすとその先にオロチが居た。
「ふふ,根掘り葉掘り聞かれると思ったのかしら。あら,新しくお茶持って来なきゃね」
えんらえんらが部屋を出ようとしたのを私は止めた。
「......ああ,一緒にいらっしゃい」
えんらえんらと一緒に部屋を出て,後をついて行った。
「あとは分かるわよね。......あら,親方様かしら〜」
えんらえんらは急いで行ってしまった。
姿が見なくなったのを確認すると私はお手洗いに入った。
指先を辿ってもその先が見えない。
運命の人,だなんて分かったとしてもそう簡単に受け入れられはしないだろう。
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剣城京菜(プロフ) - まぃさん» ありがとうございます頑張りますっっ!! (2018年2月26日 18時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
まぃ(プロフ) - かっこいいですオロチ!! 夢主さんも可愛いし これからも頑張ってください! (2018年2月25日 21時) (レス) id: fa92bd9a65 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 奈乃さん» ありがとうございます,頑張ります!! (2018年2月12日 11時) (レス) id: 8e91a3c5b3 (このIDを非表示/違反報告)
奈乃 - おもしろいです! 更新頑張ってください! (2018年2月11日 17時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2018年2月11日 0時