六十一輪 ページ11
もうすぐ見つけてもらえそうなんて根拠は何処にもない。
ただこれは私が不安になり酷い思いが独りでに渦巻いただけだ。
数分が何時間にも感じられ,隅に落ちていた大きい石を腰かけにし,目の前を歩く妖怪たちを目で追っていると孤独感が増してくる。
「......早く見つけてよ」
顔を伏せて目を閉じるとこんな騒がしい中,私だけが壁に隔たれたような感覚に陥った。
迷子なんて今まで一度もしたことがない。
こんな気持ちを幼いころに体験したことのない私はどう処理すればいいかわからない。
地面にぽつりと一粒雨が落ちた。
「......!!」
誰かが私の髪を撫でた。
「見つけたぞ」
顔をあげるとその金色の瞳は柔らかく光る。
胸の中がまるで糸が解れたように感じた。
「すまない,奴らが見えたものだから追い払うのに気が向いてしまっていた。まだ腹が空いているだろう」
オロチはそう言って私にビニール袋を手渡した。
中にはたこ焼きが入っていた。
「......甘い物の方がよかったか」
オロチは顔を覗き込んだ。
「......どっちもがいい」
無意識のうちに,私はオロチに抱き着いていた。
オロチは我儘を嫌と一切言うことなく,全て私がしてほしいこと全てを受け入れた。
ベンチに座りご飯を食べつつ,花火が打ちあがるのを待った。
もくもくと食べていると何処からか私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
「もんげ〜っAずら〜」
「兄ちゃん走ったら危ないずらよ〜」
それはコマさんとコマじろうだった。
「心配で戻ってきたずら。でも1人じゃなくなったみたいで良かったずら〜」
コマさんは屈託のない笑顔を見せた。
「......さっきはごめんなさい。コマじろうも」
私は両手で2人の頭を2回ほど撫でた。
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剣城京菜(プロフ) - まぃさん» ありがとうございます頑張りますっっ!! (2018年2月26日 18時) (レス) id: 6021a386db (このIDを非表示/違反報告)
まぃ(プロフ) - かっこいいですオロチ!! 夢主さんも可愛いし これからも頑張ってください! (2018年2月25日 21時) (レス) id: fa92bd9a65 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 奈乃さん» ありがとうございます,頑張ります!! (2018年2月12日 11時) (レス) id: 8e91a3c5b3 (このIDを非表示/違反報告)
奈乃 - おもしろいです! 更新頑張ってください! (2018年2月11日 17時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2018年2月11日 0時