いつも君は58 ページ8
「……悪いけどボクはなにも知らないから力にはなれないねぇ」
キュウビはふわりと踵を返した。
すかさず私は揺れる尻尾に抱きついた。
「なっ、ボクに触れないでもらいたいねぇ」
キュウビは振り向きざまに片腕で振り払った。
行動の予測はついたので私はすぐさましゃがみ込んだ。
キュウビの腕はただ空気を切るだけ。
「……」
キュウビは分が悪そうな顔で私を見下ろした。
「……オロチは確実に私に嘘をついている。隠しても分かる。君だってそう。最初会ったとき不可解な事を言った。……本当は私のこと知っているんじゃないの」
私は、視線を外さずキュウビの目をじっと見つめながら立ち上がった。
「本当は、知っているんじゃないの。君も、オロチも私のこーーーー……」
すると突然背後から誰かに口を塞がれた。
この手の感触はオロチのものだった。
力任せにその手を剥がすとオロチが、今にも食い殺そうとしんばかりという目でキュウビを睨みつけていた。
「……勘違いしないでもらいたいね。それじゃ、ボクは暇じゃないんで失礼するよ」
キュウビはそう言って消えてしまった。
私はキュウビの消えてしまった跡をじっと見つめていた。
静かな夕暮れに一つ、ため息が漏れた。
「……Aは余計なことをしなくていい。私に全て任せろ」
オロチはそうやって私の後ろから投げかけた。
「……そう。余計、ね。そう、余計。……本当に余計なことなの。……これはただの憶測だけどオロチとキュウビの隠していることは私にとって重要なことに感じる。だから私は詮索をするだけ。オロチは"私は私に従うだけ"、確かにそう言った。それなら私だって同じこと言う。オロチが私のことをどう思おうが、どうしようと知らない。任せきる信頼も持ち合わせてない。これは私の問題だから……他者がどうこうできることじゃない」
振り向くと夕暮れの光が挿し込んだ。
背後から打たれたオロチの顔は光に隠れ、どんな表情をしているのかわからなかった。
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剣城京菜(プロフ) - 美空さん» ありがとうございます！！頑張りますっ！！ (2017年12月28日 0時) (
レス) id: 269c9ce767 (このIDを非表示/違反報告)
美空 - 続きが気になります。ゆっくりでかまいませんので更新頑張ってください。楽しみにしてます！ (2017年12月27日 21時) (レス) id: 611dba761a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 奈乃さん» ありがとうございます頑張りますっ！ (2017年12月4日 20時) (レス) id: 269c9ce767 (このIDを非表示/違反報告)
奈乃 - 更新頑張ってくださいね！ (2017年12月4日 18時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：剣城京菜 | 作成日時：2017年12月4日 0時
