いつも君は54 ページ4
背を向けさっさと行ってしまう母さんの背に私は無意識に声をかけていた。
「ぁ……その……ありがとう……」
私が言えるのはそれだけだった。
扉をそっと閉めると私は扉におでこをぶつけ、長くため息をついた。
感情が分かればもっと気の利いたことを言えるのだろうか。
「早く……思い出さなきゃ……」
私は本棚の１番上にある小さなアルバムを手に取った。
中を開くと小学生の頃の写真が数枚入れられていた。
さっき母さんが言ったように写真の中の私は、元気の塊という言葉がうってつけのような子どもだった。
虫を触っていても笑っていて、泥だらけでも笑っていて、どの写真も笑っている。
ぼんやりと眺めていると背後に誰かの気配を感じた。
振り返るとオロチがそこに立っていた。
「何を見ていた」
オロチは後ろから覗き込んだ。
私はアルバムを手渡し、ベッドに座った。
ぺらぺらとアルバムの全てに目を通すのを見計らってから私は口を開いた。
「元気の塊だって母さん言っていた」
オロチはふっと息を吐くように笑った。
「確かにそうだ」
オロチがアルバムを閉じると、ひらりと１枚写真が落ちた。
拾い上げ、表面を返そうとすると突然オロチがそれを奪い取った。
「これは私が落としたものだ」
そう言ってオロチはその写真を懐にしまった。
「……そう」
「……明日はどうするつもりだ。大事を取って学校は休むか」
私は首を横に振った。
「もう平気、明日は行く」
「……そうか、くれぐれも無理はするな」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 15人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
剣城京菜(プロフ) - 美空さん» ありがとうございます！！頑張りますっ！！ (2017年12月28日 0時) (
レス) id: 269c9ce767 (このIDを非表示/違反報告)
美空 - 続きが気になります。ゆっくりでかまいませんので更新頑張ってください。楽しみにしてます！ (2017年12月27日 21時) (レス) id: 611dba761a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 奈乃さん» ありがとうございます頑張りますっ！ (2017年12月4日 20時) (レス) id: 269c9ce767 (このIDを非表示/違反報告)
奈乃 - 更新頑張ってくださいね！ (2017年12月4日 18時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：剣城京菜 | 作成日時：2017年12月4日 0時
