いつも君は79 ページ29
「……」
目を覚ますと私は知らない家の床で布団を敷いて眠っていた。
オロチはここに居ず、私は探しに行こうと体を起こした。
すると障子がすっと開いた。
そこから入ってきたのはオロチだった。
「起きたのか」
オロチは障子を閉めると、布団の傍らに腰を下ろした。
「……ここは」
「宿を借りた……丁度今3時をまわったところだ」
オロチはそう言うと思いつめた表情で軽く顔を俯かせた。
「私が居ない間一体何があったのか教えてくれるか」
私は俯かせた意味を問うことはなく、一つ一つ、順を追い説明した。
「……わざと落ちたのか」
頷くとオロチは頭を抱え長くため息をついた。
「……昔もそうだった。花子さんたちに綺麗にして貰ってあの、ぬらりひょんって妖怪から追いかけられて……。転んでうんがい鏡に突っ込んで高いとこまで飛ばされて……。今日みたいに私、誰かを求めてた。ここに来たのも一人じゃなかったような気はするけれどそれが誰なのか思い出せない……」
昔起こったことがはっきりと映像の様に流れるがどうしても誰かが思い出せない。
それはとても大事なことのような気がしてならなかった。
「……今日はもう帰るぞ」
オロチは布団を剥ぎ取ると私を抱きかかえた。
「自分で歩ける」
私はオロチを突き放した。
宿を出ると偶然に花子さんと出くわした。
「やっと起きたのね」
頷くと花子さんは困ったようにうーん、と唸って眉をひくつかせた。
「まぁ、いいわ。その服あげるってこと言い忘れてただけだから。それとまた今度こっちに来たら私のお店にいらっしゃい。更に綺麗にしてあげるから」
花子さんはにこっと笑うと帰ってしまった。
家に帰るまで、私とオロチは一切会話を交わさなかった。
だけどお互い積極的に話す方ではないからきっとこんなものなんだ。
少なくとも私は昔妖怪が見えていたということが分かったのだから、相当な手がかりにはなっただろう。
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剣城京菜(プロフ) - 美空さん» ありがとうございます！！頑張りますっ！！ (2017年12月28日 0時) (
レス) id: 269c9ce767 (このIDを非表示/違反報告)
美空 - 続きが気になります。ゆっくりでかまいませんので更新頑張ってください。楽しみにしてます！ (2017年12月27日 21時) (レス) id: 611dba761a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 奈乃さん» ありがとうございます頑張りますっ！ (2017年12月4日 20時) (レス) id: 269c9ce767 (このIDを非表示/違反報告)
奈乃 - 更新頑張ってくださいね！ (2017年12月4日 18時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：剣城京菜 | 作成日時：2017年12月4日 0時
