いつも君は73 ページ23
手を引かれたまま、私はオロチとともに歩いていた。
妖魔界の夜はとても不気味な雰囲気を持っていた。
さっきから一言も会話を返しておらず、私はずっと風になびくオロチの夜の闇に溶ける髪を見ていた。
「ねぇ、オロチは優しいの」
そう尋ねると急にオロチは足を止め、私はオロチの後頭部に鼻をぶつけた。
オロチはなにも返さず、こちらを振り返った。
「心配したって言った」
「……それは当たり前のことだろう」
……当たり前。
本当にそうなのだろうか。
オロチが変なのは最初からだし、気づいていたことだけれど赤の他人にわざわざ山の奥まで探しに来る義理はないだろう。
あんなふうに怒ることも当たり前なのだろうか。
「Aの言いたいことはなんとなく想像はできるが……」
オロチは少し間を置いてから深くため息をついた。
「しいていえば私は変わり者なのだろうな」
「自分で言うんだ」
そう返すとオロチは苦笑した。
「……そう」
巨大な三つ目のついた大きな門をくぐると先の地面に魔法陣が青白く発光していた。
その上に立つと筒状に壁ができ、ぐらん、と
揺れた。
薄暗いこの中は上か下に動いているような感覚があった。
「着いたぞ」
オロチがそう言ってすぐに、壁から月明かりが挿し込んだ。
抜けるとそこはたぶん、おおもり山だった。
振り返ると私たちが出てきたのは御神木の幹からだったようだ。
「早く帰るぞ」
オロチは足元に落ちていたスクールバッグを私に差し出した。
「……」
眠気に逆らわず目を閉じるとオロチに両頬を掴まれ、はっと目を開ける。
「……部屋まで送っていこう」
オロチは繋いでいた手を離すと両手を広げた。
私は首を横に振り、繋いでいた方の手でオロチの片手を握った。
「……子ども扱いしないで頂戴」
私はふわふわした意識の中で自力で歩き出した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 15人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
剣城京菜(プロフ) - 美空さん» ありがとうございます！！頑張りますっ！！ (2017年12月28日 0時) (
レス) id: 269c9ce767 (このIDを非表示/違反報告)
美空 - 続きが気になります。ゆっくりでかまいませんので更新頑張ってください。楽しみにしてます！ (2017年12月27日 21時) (レス) id: 611dba761a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 奈乃さん» ありがとうございます頑張りますっ！ (2017年12月4日 20時) (レス) id: 269c9ce767 (このIDを非表示/違反報告)
奈乃 - 更新頑張ってくださいね！ (2017年12月4日 18時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：剣城京菜 | 作成日時：2017年12月4日 0時
