いつも君は63 ページ13
暫くしてようやく涙が止まると、私はオロチを突き放した。
「……嘘は」
尋ねるとオロチは
「まだ言う必要はない」
と言った。
「……一気に記憶を取り戻してしまえば混乱するだろう。頭痛も起こるようだから今言うのは適切ではない。隠していることは……少しずつ、少しずつ教えよう」
オロチはぽんぽんと私の頭を優しく叩いた。
私は２度頷いた。
「……そう。じゃあ、約束」
私は右手の小指をオロチに差し出した。
「……約束だ」
オロチはこの小指に小指を絡めた。
「ちなみに約束破ったら小指だけじゃすまない。片腕は貰う……」
「……物騒だな」
オロチは熱のこもった目で私を見つめた。
指を切ると私はおでこをオロチの胸に擦りつけた。
「……願いは」
交換条件であるオロチからの願いを問うと、オロチは頭を撫でた。
「……いや、まだ思いついてない。もう少し考えさせてくれるか」
「……分かった、早く離れて」
腕からすり抜け、私はベッドに座った。
「……さっきまで委員長の家に居た」
私は今朝からの出来事をオロチに話した。
委員長が私と同じ小学校に通っていたこともだ。
オロチは黙って聞いていたが、やたらと難しそうな顔をしていた。
「だけど私のことはなにも聞けなかった。それだけ」
私は貰ったクッキー缶のテープを剥がし、蓋を開けた。
チョコチップだったりバニラとのミックスだったり、幾つかの種類のクッキーが詰まっていた。
とても可愛かった。
私はそれに手を付けず、缶ごとオロチに差し出した。
「わけっこ……」
そう言うとオロチはクッキー缶と私の顔を交互に見て、シトロンのクッキーを摘んだ。
まじまじと見てまた、私の顔を見た。
「これは……その委員長という奴から貰ったのか」
「……ううん、そのお母さんから。妹と遊んでくれたお礼だって」
オロチはまた、クッキーに目をうつす。
「……食べないの」
「……ああ、いや。頂こう」
ようやくオロチは一口、口へ運んだ。
それを見て私も１枚手に取った。
「……甘い」
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剣城京菜(プロフ) - 美空さん» ありがとうございます！！頑張りますっ！！ (2017年12月28日 0時) (
レス) id: 269c9ce767 (このIDを非表示/違反報告)
美空 - 続きが気になります。ゆっくりでかまいませんので更新頑張ってください。楽しみにしてます！ (2017年12月27日 21時) (レス) id: 611dba761a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 奈乃さん» ありがとうございます頑張りますっ！ (2017年12月4日 20時) (レス) id: 269c9ce767 (このIDを非表示/違反報告)
奈乃 - 更新頑張ってくださいね！ (2017年12月4日 18時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：剣城京菜 | 作成日時：2017年12月4日 0時
