百五十五 ページ5
「なぁ、懐かしいだろう？オロチよ……」
「……え、オロチ……？」
オロチは苦虫を噛み潰したような顔で赤い目を睨みつけていた。
その昔話って……？
どうしてこんなにも引っかかるの？
「……不憫なものだ。小僧が封印を解かなければ今頃貴様は両親と今も幸せであったと言うのに」
「それって……どういう……」
それ以上聞けばなにかが崩れてしまうと、本能がそう告げていた。
でもそれってとても重要なことがしてならない。
「そんな奴に耳を貸すな……っっ」
「そんな権限があると思っているのか？哀れな不幸の子よ。貴様はただの"被害者"なのだ。そしてそんな貴様を不幸にしたのは紛れもない……」
赤い目はゆっくりとオロチの方を指差した。
「そこにいる"オロチ"だ」
「……ぇ」
瞬間さっと血の気が引いた。
ぐるぐるして倒れてしまいそうだった。
嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘……っっ‼
「嘘だよね……？オロチ？オロチは私を助けてくれたんだよね……？」
「……すまない」
そんな言葉、聞きたくなかった。
「あっはははははは‼最高……最高だ……っ‼今日のところは勘弁してやろう。積もる話もあるだろう？だがこれで終わらんぞ‼我はいつでも貴様を監視しているからな‼」
大風が吹いて赤い目が消え去った。
気づくと私はおおもり山にいた。
空は都会ではありえないくらい綺麗な夜空だった。
それですら疎ましく思える。
「A……」
「……嘘つき」
私はそう言ってオロチを突き放した。
「どこに行く気だ……っっ」
「……関係ないでしょ⁉嘘つき‼信じてたのに……っっずっと信じてたのに‼私はずっと苦しんでたんだよ……‼オロチがいなければ私は普通でいられたはずなのに……‼ずっとそれを隠してたとかオロチなんて大嫌い‼もう顔も見たくない……っっ‼」
私はそう叫んでその場から走り去った。
オロチがどんな顔をしていたかなんて分からない。
見れない。
走っている時、私はなにも考えられなかった。
家にたどり着いて立ち止まると今起こった出来事、怒り、悲しみが一気に溢れ出した。
「……Aちゃん？部屋にいたんじゃ……」
おじさんが気配に気づいたのか玄関を開けた。
「おじさん……」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 24人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
剣城京菜(プロフ) - 奈乃さん» http://uranai.nosv.org/u.php/list/Take2241/ こちらのURLに飛んで貰えれば完結したものが全て入ってます！もしくは私の名前をタップかクリックして貰えれば見つかります！ (2017年10月21日 23時) (
レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
奈乃 - どんな作品がありますか？ 読んでみたいです！ (2017年10月21日 23時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 奈乃さん» 楽しんで頂けて良かったです！残念ながらこの作品の続編を作る予定はありませんが現在投稿中の作品も過去作品もありますので良かったらそちらも読んで頂けると嬉しいです(^^) (2017年10月21日 18時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
奈乃 - 面白かったです！続編見たいです (2017年10月21日 18時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - capeさん» ありがとうございます！今後も頑張りますっっ (2017年8月28日 17時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：剣城京菜 | 作成日時：2017年8月2日 1時
