百七十三 ページ23
「何を二人でこそこそとしている。……とうとう諦めたか」
赤い目が含み笑いをした。
「……私は、誤って祠を壊してしまった。だが罪悪感などなかった。呪われるのは自分ではないと言われたからだ。それ以降何も変わらずに日々を過ごしていた。そして妖怪になって暫くして私が壊した祠に閉じ込めていた呪いについて耳にした。……それまではすっかり忘れていた。ようやく私は酷いことをしたのだと気づいた。死ぬことがなくなり、力を手に入れたのならどうにかできるのかもしれないと私は呪いについて調べることにした。何十年も探してついにAを見つけた。……だがもう呪われていた。呪いの元凶が私だとは最後まで告げられず私は逃げ出した。それでも真実を知ってもAは私を許して私を助けると、守ると言った。以前と比べ物にならない程に変わったAに救われた。私は、もう一度Aを守ろうと誓った。そしてAと同じく過去を背負い幸せになることを選んだ。だから私も過去の呪縛を祓わねばならない」
黒いつるが私たちを包み込み、世界を遮る。
真っ暗な中でつるを引きちぎる音と漏れる光、オロチに抱かれ地を足で弾く。
「な、なに……‼」
私たちは光のようにそのまま赤い目へその身ごと突っ込んだ。
光を放ち、黒い灰が散らばり、強風が吹き荒れる。
「きゃっ」
あまりの強さに私たちは少し離れた家の屋根の上に落っこちた。
幸いオロチが庇ってくれて頭を打つことはなかった。
風がおさまり私たちは体を起こした。
そこに見えたのはいつもの世界。
「あれ、私何してたんだっけ……?……あ、Aちゃん」
私たちに気づいたイナホちゃんがこちらへ手を振った。
「……ちゃんと祓えたのかな」
「あれを見てみろ」
オロチが空を指差した。
黒い灰が空へ少しずつ舞い上がり消えていった。
今度こそ祓えたのだと確信できた。
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剣城京菜(プロフ) - 奈乃さん» http://uranai.nosv.org/u.php/list/Take2241/ こちらのURLに飛んで貰えれば完結したものが全て入ってます!もしくは私の名前をタップかクリックして貰えれば見つかります! (2017年10月21日 23時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
奈乃 - どんな作品がありますか? 読んでみたいです! (2017年10月21日 23時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 奈乃さん» 楽しんで頂けて良かったです!残念ながらこの作品の続編を作る予定はありませんが現在投稿中の作品も過去作品もありますので良かったらそちらも読んで頂けると嬉しいです(^^) (2017年10月21日 18時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
奈乃 - 面白かったです!続編見たいです (2017年10月21日 18時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - capeさん» ありがとうございます!今後も頑張りますっっ (2017年8月28日 17時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2017年8月2日 1時