百七十二 ページ22
見間違えたのかと考えたけれどそれは絶対にない。
妖怪だから治癒が早いとも違う。
それは擦り傷などの跡がまだ残っているからだ。
私はオロチの懐へ手を突っ込んだ。
「お、おい……」
オロチは私の腕を掴んで体を起こした。
懐になにかあることを確認すると私はそれを取り出した。
それはクリスマスの時に渡した小さな青色の袋だった。
お手紙を入れただけで特別なものではない。
私は中身を取り出してみた。
中にはお手紙ともう一枚、何回も折りたたまれたぼろぼろの紙が入っていた。
広げてみるといつか私がオロチに渡したお守りの御札だった。
そこで私はオロチが無事だった理由とこの御札の効果が結びついているのだと思った。
でもそれと一体何が違うのか。
私はこの御札を書いた時のこと、陰陽師について調べた内容などの記憶を辿った。
「魂を刻み込む……」
そう言ったのはオロチだった。
そして辿った記憶が止まる。
そうだ。
あの時私は御札に願いと魂を吹き込んだ。
まだ、足りなかったんだ。
私は御札を両手で持ち、オロチは私の手を包み込んだ。
そして私はそっと目を閉じ、こう呟いた。
「……私は、ずっと自分を責めてた。ママやパパが死んだのも、夏恋さんが死んだのも、全部自分だけの世界で閉じ込めてた。死にたいって願ってもそんな勇気私にはなくて、でもずっと望んでた。それでも、私は本当は生きたいって死にたくないって。一人は嫌。ずっとずっとそう思ってた。それを認められたのはオロチのおかげだよ。オロチはずっと私のことを考えてくれてた。オロチはいつも優しくしてくれて……私の為に殴ってくれる。私はオロチに沢山支えられてきたの。だから私はまた、誰かと一緒にいたい。呪われた過去は全部背負って、これからは幸せになりたい。……ううん、なるの。オロチと一緒に。だから私は過去の呪縛を祓わないといけない」
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剣城京菜(プロフ) - 奈乃さん» http://uranai.nosv.org/u.php/list/Take2241/ こちらのURLに飛んで貰えれば完結したものが全て入ってます!もしくは私の名前をタップかクリックして貰えれば見つかります! (2017年10月21日 23時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
奈乃 - どんな作品がありますか? 読んでみたいです! (2017年10月21日 23時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 奈乃さん» 楽しんで頂けて良かったです!残念ながらこの作品の続編を作る予定はありませんが現在投稿中の作品も過去作品もありますので良かったらそちらも読んで頂けると嬉しいです(^^) (2017年10月21日 18時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
奈乃 - 面白かったです!続編見たいです (2017年10月21日 18時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - capeさん» ありがとうございます!今後も頑張りますっっ (2017年8月28日 17時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2017年8月2日 1時