百六十五 ページ15
「……?」
目を覚ますと私は実家の自室の布団で寝ていた。
体を起こすと濡れたタオルが落ちた。
「……夢?」
「夢ではない」
そう答えたのは……
「……土蜘蛛?」
土蜘蛛は何故か眠ってはいない。
よくよく考えてみれば今ここには色がある。
「奴の狙いはただの娯楽だと聞いた。ならあの街一つで十分というだけの話だ。それはそうと突然飛んできたものだから少しばかり驚いたぞ」
「飛んできた……?」
そこでようやく私が飛ばされていたことを思い出した。
殆ど記憶がないけれど。
「土蜘蛛がここまで運んできてくれたんだね。ありがとう」
「いや。……あぁ、いや。なんでもない」
土蜘蛛はなにかを隠したようにそう言った。
「なんとかならぬものか……」
土蜘蛛は深くため息をついた。
「……私がなんとかする。癪だけど、猶予貰ったからきちんとした御札をつくる。それで、戦う」
私は縁側から外へ飛び出した。
空はもうオレンジ色で夜が差し迫っていた。
家の裏へまわり、蔵の前に立った。
まだなにか、ここにヒントがあるんじゃないかと思った。
あいにく鍵を持ってない私は蔵の裏にまわり、
窓をこじ開けた。
よじ登って窓から中へ入ると、扉の前で衝撃音が聞こえ、直ぐに扉が開いた。
「手荒ですまないな」
「う、うん……」
夕暮れを灯りに頼りにして蔵の中を物色した。
「随分と古いものばかり置いているのだな」
「あぁ、うん……。……?」
ふと視界の横に黒い影が見えた。
そちらの方を見てみるも、何もなかった。
「……なんかある」
隅っこに置かれた古い壺に御札が貼られていた。
土蜘蛛がその御札に触れるといつかオロチがなったように、土蜘蛛の手から煙が出た。
「……あんま触らないほうがいいよ」
貼られていた御札を裂くと壺の中には木の箱があった。
その木の箱にも御札が何枚か貼られていた。
その御札も裂いて箱を開けた。
「紙、筆、硯と墨……?……習字セット?」
「ふむ、古いが上質なものだ。他にめぼしいものがないのなら一旦戻るぞ」
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剣城京菜(プロフ) - 奈乃さん» http://uranai.nosv.org/u.php/list/Take2241/ こちらのURLに飛んで貰えれば完結したものが全て入ってます!もしくは私の名前をタップかクリックして貰えれば見つかります! (2017年10月21日 23時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
奈乃 - どんな作品がありますか? 読んでみたいです! (2017年10月21日 23時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 奈乃さん» 楽しんで頂けて良かったです!残念ながらこの作品の続編を作る予定はありませんが現在投稿中の作品も過去作品もありますので良かったらそちらも読んで頂けると嬉しいです(^^) (2017年10月21日 18時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
奈乃 - 面白かったです!続編見たいです (2017年10月21日 18時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - capeさん» ありがとうございます!今後も頑張りますっっ (2017年8月28日 17時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2017年8月2日 1時