百六十三 ページ13
「オレも報告書とかでしか把握していないんだ。だけど呪いとかそう言うものは陰陽師であれ人間界に封印されたままじゃなく、こちら側で管理をしないといけないものなんだ。妖器を持っている以上いつ事が起こるか分からない。だからどうか気を強く持っていてくれ。俺は妖器を探す。そうすれば奴もいるだろうからな」
エンマ大王はそう言うと窓から飛び出していった。
「Aちゃん、もうそんなのんびりしている暇なんてないわ〜」
「……うん」
窓を閉めると大きな揺れを感じた。
「……地震?」
揺れは直ぐにおさまった。
「……えんらえんら?」
えんらえんらは目を閉じ、ふわり、ふわりと床に落ちた。
「……ねぇ、どうしたの?」
声をかけても返事は帰ってこなかった。
いくら呼びかけてもなにも反応をしめさない。
「……?」
妙に胸騒ぎがする。
私は閉めた窓をまた開けた。
「なにこれ……」
世界はグレーに染まっていた。
しんと静まり返るその世界はまるで生きる者がいないようだ。
グレーの空にちらりと赤色が光る。
その瞬間、この状況を悟った。
私は無意識に家の外へと飛び出していた。
「皆どうしちゃったの……?」
道の途中で人と妖怪が倒れている。
信号は止まり、車も電車も止まっているようだ。
「はやく……はやくなんとかしなくちゃ」
一つの気配を感じ取ろうと意識を集中させる。
だけどなにも分からない。
でも、それでもなにか行動を起こさなくちゃいけない。
だから私は無我夢中で走った。
「哀れな不幸の娘よ」
振り返るとそこには赤い目が居た。
「その決心とはなんだ?何故あの小僧を許せる?」
「……うるさいよ。他人を巻き込んで手の混んだ呪いをかけて楽しんでいるようなあなたには一生分からないよ。全部全部あなたのせい。オロチは一切関係のないただの被害者だよ。……私はあなたを祓う」
赤い目は口角をあげ笑う。
「お前に一体何ができる?例え陰陽師の子孫で力があろうと知識がなければそんなもの無と同然。全ての物事には必ず正しい順序と言うものがある。それさえ踏まえず私に挑もうと言うのか?……無謀すぎる。お前には闇になれる素質があるんだ」
赤い目は1歩ずつ、私に近づき耳元で囁いた。
「闇は無意識にお前の中から見え隠れしている。気づいているのだろう?」
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剣城京菜(プロフ) - 奈乃さん» http://uranai.nosv.org/u.php/list/Take2241/ こちらのURLに飛んで貰えれば完結したものが全て入ってます!もしくは私の名前をタップかクリックして貰えれば見つかります! (2017年10月21日 23時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
奈乃 - どんな作品がありますか? 読んでみたいです! (2017年10月21日 23時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 奈乃さん» 楽しんで頂けて良かったです!残念ながらこの作品の続編を作る予定はありませんが現在投稿中の作品も過去作品もありますので良かったらそちらも読んで頂けると嬉しいです(^^) (2017年10月21日 18時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
奈乃 - 面白かったです!続編見たいです (2017年10月21日 18時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - capeさん» ありがとうございます!今後も頑張りますっっ (2017年8月28日 17時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2017年8月2日 1時