百八 ページ8
私たちを囲う人と妖怪だかりの奥に、私は見つけた。
「……オロチ」
オロチは人と妖怪だかりに突っ込み、こちらへ向かってくる。
なにか焦っているようにも見える。
「あの……」
オロチは私に勢い良く抱きついた。
反動で私は後ろへ仰け反る。
オロチはなにも発しなかった。
ただただ、ぎゅっとぎゅっと抱きしめるだけ。
首筋が湿っぽくなる。
それは汗とかじゃなくて多分オロチの……。
皆の視線や冷やかしも構わずオロチはずっと私を抱きしめていた。
苦しいけど、私は嫌と意思表示はしなかった。
だってこれは好きだ。
「私ね、頑張ったんだよ。……不思議なの。なんかね、もっと頑張れそうって思えたの」
だんだんと自分の声が震え、鼻声になっていくのが分かる。
「あの、ね。ごめんなさい……」
ようやくオロチは口を開く。
「Aはなにも悪くない。最近思うとこがあって……つい八つ当たりしてしまった。努力していたことは私が最も知っていた筈なのにあのような酷いことを言ってしまった……。本当にすまない」
「……うん。あのね、もしね。嫌いになっちゃったのなら、嫌いって言って欲しいかな……。避けられると不安になるし、凄く悲しい」
するとオロチは更に腕の力を強めた。
「私がAを避けたのは思うとこがあったからだ。決して嫌など思っていない。だがそれが苦になってしまっていたのなら謝る。……すまなかった」
オロチは私から離れると髪をくしゃくしゃに撫でた。
オロチは腫れた目で微笑んだ。
そんな顔されると私どんな顔すればいいか分かんない。
もやもやでぐちゃぐちゃ。
だけど……。
もっと、好きってなっちゃう。
「あの〜……お二人方、いい雰囲気の中悪いんだけど……」
はっと我に返る。
私たちが注目の的って言うやつだというのが分かった。
急に恥ずかしくなって数歩引き下がった。
「さ、遅くなっちゃいましたけど、今日はとことん楽しみましょ〜‼」
「ぉ、お〜」
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奈乃 - 面白いですね。 はまります。 (2017年10月21日 21時) (
レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - ヒカリさん» ありがとうございます！頑張ります (2017年8月2日 1時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
ヒカリ - とっても面白かったです!更新頑張ってください! (2017年7月31日 16時) (レス) id: ec7a8320b4 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 文連さん» ありがとうございます！！とっても長編になってしまうと思いますが最後まで読んで頂けたら嬉しいです(^^) (2017年6月12日 1時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
文連(プロフ) - 黒髪の子が誰なのか気になりますね。最初から見させていただいています。貴方の書くオロチはいつも可愛くて読んでいて楽しいです (2017年6月11日 17時) (レス) id: c16134aa36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：剣城京菜 | 作成日時：2017年6月11日 15時
