百四十四 ページ44
「じゃないとしてもプレゼントっていろんな意味あるじゃないですか〜っ。好き、とか。いつもありがとう、とか。そんなんじゃだめ、かな？」
「……ありがとう？とか？うーん……プレゼント……いいかも」
そう答えるとイナホちゃんは私の手をとって立ち上がった。
「決まり‼また電話するからオロチに欲しいものそれとなく聞いてきたほうがいいかも‼くれぐれもバレないようにお願いしますよ〜。それじゃ‼」
イナホちゃんはそう言ってダッシュで帰っていった。
「プレゼント……ねぇ……」
その晩、オロチが帰ってきたのは私が寝ようと部屋に戻った時だった。
「まだ寝ていないのか」
「今寝るとこ……」
電気を消すと私はベッドへ潜り込んだ。
少し迷って話を切り出す。
「ねぇねぇ、オロチ」
「……なんだ」
今日はなんだか声が遠くに聞こえる気がした。
「今日ね、おじさんにサンタさんからのクリスマスプレゼント何がほしいのって聞かれたの。でもね、私欲しいもの思いつかなかなくて。オロチだったら何頼むのかなって……」
下手過ぎただろうか。
これでもずっと考えていたのだけれど。
「……必要ないな。なくても困らないものばかりだ」
「そう、なんだ……。好きなものとかないの？」
オロチはなにも答えなかった。
すうすうと寝息が聞こえる。
もう眠ってしまったようだ。
「……おやすみ」
それから休日まで私はオロチになにも聞き出すことは出来なかった。
約束の休日のお昼頃、イナホちゃんから電話がかかってきた。
どうやら風邪を引いてしまったらしい。
電話越しでも辛そうなのが痛いほど分かった。
「うん、大丈夫だよ。早く元気になってね」
電話を切ると私は部屋へ戻り、身支度を整えた。
今日はオロチは居ない。
なんの手がかりも無しに探しに行くのだ。
部屋の扉を開けた瞬間、煙が部屋に入り込んだ。
「こんにちは〜」
その煙は妖怪の形になる。
「ぁ……」
その正体はえんらえんらだった。
えんらえんらは私の両手を取るとくるくると回った。
「うふふ、悩める乙女にいつ見てもどきどきわくわくしちゃうわ〜。そんな悩み大き乙女にはお節介焼いちゃうんだから〜」
そう言ってえんらえんらは私を窓から引っ張り出した。
何処かへ連れてかれたようだけど道中の記憶はない。
気がついた時、そこはどこかの山奥でとてつもない吐き気に襲われた。
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奈乃 - 面白いですね。 はまります。 (2017年10月21日 21時) (
レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - ヒカリさん» ありがとうございます！頑張ります (2017年8月2日 1時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
ヒカリ - とっても面白かったです!更新頑張ってください! (2017年7月31日 16時) (レス) id: ec7a8320b4 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 文連さん» ありがとうございます！！とっても長編になってしまうと思いますが最後まで読んで頂けたら嬉しいです(^^) (2017年6月12日 1時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
文連(プロフ) - 黒髪の子が誰なのか気になりますね。最初から見させていただいています。貴方の書くオロチはいつも可愛くて読んでいて楽しいです (2017年6月11日 17時) (レス) id: c16134aa36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：剣城京菜 | 作成日時：2017年6月11日 15時
