百四十 ページ40
なんやかんやと二人で話を進めてしまう。
「あの器を使われたならもっと大事になっているはずだ。妖魔界にあると限らないとなれば人間界に行ってくれ。A、お前にも手伝ってほしい。無理には言わないが心に留めておいてくれ」
何がよく分からないけどとりあえず私は頷いて見せた。
ふとまたぬらりひょんがこちらを凝視している。
「貴様……一体何者だ」
「なに、と言われても……」
ぬらりひょんはぐっと顔を近づける。
私と妖怪に関係するものと言えば、私が陰陽師の子孫だということ。
まだ若干疑いもあるけれど今はそれが事実なのだ。
でも陰陽師の子孫だと言えば私はここで始末されるかもしれない。
「……ぉ、陰陽師、の子孫。でも、私は誰かを傷つけたりなんてしない」
そう訴えた。
正直これはあまり隠し通したくなかった。
だって疲れるだけだから。
傷つけられるのも傷つけるのも嫌。
それは本当のこと。
「そうか。だから普通の妖怪が見えるような人間とはまた違った雰囲気があったんだな。安心しな、取って食ったりはしないからさ」
エンマ大王はそういった。
「……ふん。陰陽師の子孫であろうがなかろうが鼻から仲良くする気などない」
ぬらりひょんはそう言って何処かへ言ってしまった。
「あれで気を使ってるつもりなんだぜ」
エンマ大王は笑う。
私はその笑いの意味を悟る。
「……ありがとう」
軽く頭を下げた。
「ああ、それとさっき拾ったんだがこれをどこで手に入れたんだ？」
エンマ大王の手にはコンパクト鏡があった。
「ハロウィンのプレゼント……」
「なるほど。……それがAなにを齎すのかは俺にも分からないがきっとAを真実へと導いてくれるだろう」
エンマ大王はそれがなんなのかわかっているような口ぶりで言う。
「あの、エンマ大王は……」
その時だった。
コンコン、と扉をノックする音が聞こえた。
エンマ大王が扉を開け、誰かと話をしている。
ちらりと覗いてみると扉の外には猫と犬の妖怪が居た。
「これが望みの品だ。それとこれもな」
エンマ大王は私の手の平くらいの大きさの瓶とコンパクト鏡を渡した。
「あっ、ありがとう……」
するとエンマ大王はいきなり私の手を掴むと走り出した。
「大切な奴が待ってんだろ？途中まで送っていってやるよ‼」
エレベーターに押し込まれ、振り返るとそこにはもうエンマ大王の姿はなかった。
「変な妖怪だ……」
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奈乃 - 面白いですね。 はまります。 (2017年10月21日 21時) (
レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - ヒカリさん» ありがとうございます！頑張ります (2017年8月2日 1時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
ヒカリ - とっても面白かったです!更新頑張ってください! (2017年7月31日 16時) (レス) id: ec7a8320b4 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 文連さん» ありがとうございます！！とっても長編になってしまうと思いますが最後まで読んで頂けたら嬉しいです(^^) (2017年6月12日 1時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
文連(プロフ) - 黒髪の子が誰なのか気になりますね。最初から見させていただいています。貴方の書くオロチはいつも可愛くて読んでいて楽しいです (2017年6月11日 17時) (レス) id: c16134aa36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：剣城京菜 | 作成日時：2017年6月11日 15時
